朝日「天声人語」10/10ほか

 本日10月10日(月)の朝日新聞「天声人語」に、国民投票に関するわたしの発言が掲載されています。よろしければどうぞです。取材を受けた日の夜、国民投票が和平締結に待ったをかけたコロンビアの大統領にノーベル平和賞が与えられたことを、印象的に覚えています。

 イギリスのEU離脱をはじめ、コロンビアでの和平締結に反対、ハンガリーでの移民拒否など、国民投票は嵐のように世界を吹き荒れています。日本でも憲法改正の国民投票が遠からず行われそうです。

 国民投票は、民意を明らかにするのではなく、民意が明るみに晒されるのだという認識を、そろそろきちんと持ったほうがよいのではないか。それは鋭利な刃物のようで、うまく使うと調理に便利だが、下手に使うと自傷他害の惨劇を招いてしまう。といった記事を少し前に「週間エコノミスト」に寄せました。 

週刊エコノミスト 2016年08月30日号 [雑誌]

週刊エコノミスト 2016年08月30日号 [雑誌]

 

 国民投票の多数決については、近々「朝日カルチャーセンター」でまとまった話をします。よろしければお越しください。 

 そして、これも近々ですが、「WIRED」の雑誌にコンドルセをめぐる記事、WEBのほうに多数決をめぐるロングインタビューが掲載されます。日にちが確定したらまたここでアナウンスします。

 ところで今日はノーベル経済学賞の発表日です。わたしは取れなさそうですが、自分の関連分野の受賞者が出たら、某新聞にコメントを寄せる予定です。発表を楽しみに待っています。

  話を変えます。いま「公正」についての8000字の原稿を書いている。共著の本で、締め切りは9月末で、いま4800字まで来た。正直まだ10月10日なので、そんなに迷惑な遅れ方ではないはずだ。だが、この後、残りの文章をどう書き進めていいかわからない。そして、この連休中にどうにかしないと、そろそろまずい気がする。んで、始めてきちんと『ニコマコス倫理学』を読んでいるが、面白さをつかむ能力が自分に足りない。もっと、こう、公理的に議論を進めてくれないか、と思うのだ。なぜ、そう、頭ごなしに比例分配を持ってくるのか? 慣れの問題もあろうから魂で読んでいる。 

ニコマコス倫理学 (西洋古典叢書)

ニコマコス倫理学 (西洋古典叢書)

 

 ちなみにわたしは「なぜ比例分配でなければならないか」を、めっちゃ真面目に数学的に証明したことがあるので、関心のある方は下記の論文をご覧いただきたい。自分の論文のなかでは最も引用数が高い。Ju, B.-G., Miyagawa, E., and Sakai, T. による、Journal of Economic Theoryの2007年巻頭論文。

Non-manipulable division rules in claim problems and generalizations