林貴志『ミクロ経済学』(ミネルヴァ書房)

 林貴志さんから『ミクロ経済学』(ミネルヴァ書房)をいただきました。どうもありがとうございました。林さんはロチェスターの先輩で、ジョブマッチングの共同論文を書いたこともある、親しい友人です。あの吹雪の国に留学していた頃が懐かしい。私が本を書くようになったのは林さんの影響が大きく、『メカニズムデザイン』をミネルヴァ書房から出したのも、林さんからの紹介でした。春学期は慶應で意思決定理論の集中講義をしていただき、学生にものすごく好評でした。

ミクロ経済学[増補版]

ミクロ経済学[増補版]

 

  

 次いで自分の本なのですが、11月中旬に、拙著『社会的選択理論への招待』が日本評論社から刊行されます。価格は2400円(+税)程度の予定です。いつの間にかAmazonでは5250円で予約受付中になっていますが、この価格は何かの間違いです。たぶん2520円が正しいのではないだろうか。

 いまデザイナーさんが装丁を作ってくれています。どんなのが出来るんだろう。今日はソデ(表紙をめくった所)の文章を書きました。これから少しずつ内容を紹介していきます。

 多数の人々の異なる意見をどう集約すればよいか。民主主義の歴史と同程度に古いこの問いは、フランス革命前夜のパリ王立科学アカデミーで、はじめて科学的な分析の俎上に載せられた。議論の焦点は多数決だ。まずボルダが多数決は「票の割れ」に弱いことを端的に示し、代替案として今日ボルダルールと呼ばれるルールを考案した。次いでコンドルセが、ルソーの一般意志を念頭に置きつつ、多数決の確率論的な分析を行った。こうして始まる社会的選択理論は、約150年後の20世紀半ば、ブラックの中位投票者定理とアローの不可能性定理により劇的な新展開を迎える。本書はそうした歴史を辿りながら、当該分野の本質的内容を平明に解説していく。民主主義の理想に対し、社会的選択理論はどのような実装を与えられるか。可能性の境界に私たちは迫る。

社会的選択理論への招待

社会的選択理論への招待