あらためてブログの再開

 2013年の秋から2017年の夏あたりまで、およそ4年間ブログを書いていた。その後はTwitterに移りブログの更新を止めてしまった。いまや2021年の夏なので、そこから4年経ったことになる。あらためてブログを再開しようと思う。主に日常雑記として、その時々に思うことを書き留めようと思う。

 理由は3つある。

  1. たんに日常雑記を書きたくなった。元々わたしはそういうのが好きだから。これが理由の大半である。
  2. 体感として、Twitterの「告知度」「フロー度」があまりに高くなった。わたしも含めて告知のためのツイートが多すぎるのと、タイムラインの流れが早くてフローとして消えていって、ストックにならない。Twitterは個人が発信する媒体として、以前よりかなり難しくなっている気がする。
  3. 昔と比べて好き勝手につぶやけなくなった。有難いことなのだが、ほぼ毎日初対面の人と会う生活をしていると、何かに非難めいた軽口をたたきたくなっても、それで嫌な気になる知人の顔が頭をよぎる(この点、仮想通貨が上がったとか下がったとかは人畜無害でよい)。

 Twitterは好きだし続けるけれど、ブログと役割を分けて行こうと思う。ゼロ年代のテキストサイトってとても面白かったのだけど、そのときの空気感を少しでも再現できたらよいなと思っている。

ブログの再開

 2013年の秋から2017年の初夏あたりまで、およそ4年間このブログを書いていました。子育ての雑記・マラソンの記録・情報の告知が主な目的でした。いま思うとけっこう多く書いています。

 年月が経つうちに、子育ては落ち着き、フルマラソンをサブ4で走れるようになり、情報の告知はツイッターに移行しました。そうしてブログを更新しなくなり、閉鎖していました。

 で、このブログを一部再開しようと思います。子育てネタについてはけっこう個人的なことを書いていたので、削除しました(いつの間にか子どもはPCを使うようになったし)。再開の理由は、何となく、誰かの何かの参考になる気がするからです。あるいはたんに駄文を楽しんでもらえたら、それはそれで嬉しいです。

 たとえば、このブログを最初から読むと、マラソン未経験者が走りはじめて、走れるようになって、何度も失敗しながらサブ4を達成して、その後モチベーションを失う、という流れになっています。わりとこういう「本当に素人のランナーの長期の記録」はネット上にも本にもないので、初心者ランナーの方には参考になるかもです。かなり細かくタイムも書いています。

 私は以前ほど熱心ではありませんが、いまも走っています。これからも年に1~2回くらいはフルを走ると思います。私の父は69歳でフルを走っており、「父を越えたい」みたいな思いはあるのですが、自分が69歳までできるかは不明です。

 ブログでは、ラン以外にも、いろいろ下らないことや、政治経済に関することもいくつか書いていました。「いまはこんな風には思わないなあ、考えないなあ」という記述も結構ありますが、許容可能なレベルの恥だと思うので、大半はそのまま載せています。それらの多くは後に、本や論文や雑誌の原稿になっています。なので私の学問や見解みたいなものに関心がおありの方は、ブログではなくそれらをあたってください。

 ちなみに私自身がいちばん気に入っている過去記事は「パン食い競争」です。3年以上前のノンフィクションです。

toyotaka-sakai.hatenablog.com

八月末の雑記

 マラソンをやめたい。陸上界から引退したい。だが今年も横浜マラソンに当選してしまった。こんなことばかりで運を使っている気がするが、練習しないわけにはいかない。

 だがモチベーションが足りない。半年前に、東京マラソンで初のサブ4を達成してから、腑抜けになってしまった。目標がないのだ。サブ3.5は厳しい道だし、自己満足としては一度サブ4を達成すれば十分である。私は残りの人生を、「サブ4やったことがあるんすよ」といばり続けて過ごすのだ。もう努力する理由がないし、走るのが辛いなら歩けばよい。

 フルマラソンは身体に悪い。私の場合、走った日の夜は、微熱が出る。翌朝には微熱はおさまるが、免疫力が落ちるのであろう、その後に体調を崩すことが多い。家庭や仕事で人に迷惑をかけるまでが、フルマラソンのワンセットになっている。たぶん生物的にも、社会的にも、人間にはハーフマラソンくらいが丁度よいのだろう。

 だがハーフでは、どうも心が躍らない。ただ21kmを走るだけの単調な競技――栄養摂取・トイレ戦略・ペース配分を考えなくてよい――では、いささか刺激が足りない。

 八月も終盤。日が暮れるのが早くなってきた。何が言いたいかというと、今年もそろそろランシーズンだなあ、ということである。今年も東京マラソンの抽選に申し込んだ。どうか当選しますように。 

大人のための社会科 -- 未来を語るために

大人のための社会科 -- 未来を語るために

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日経新聞5/27「活字の海で」

 5月27日の日本経済新聞・朝刊の書評面「活字の海で」のコーナーで、拙著『ミクロ経済学入門の入門』がとりあげられています。わたしの「新書というジャンル」への愛がこもったコメントも載せてくれています。よろしければご覧ください。

 今日はTBSラジオ「久米宏のラジオなんですけど」に出演した。自分ではまだオンエアを聴いておらず、夜に静かに一人で聴くつもりだ。センテンスを短く、テーマを広げないようコンパクトに喋ったつもりだが、上手くいったかよく分からない。コンパクトにし過ぎた、無難に喋り過ぎた気もする。

 帰り道には、色々と「もっと、ああすればよかった」のように思うし、及第点に達しているならそれでよいとも思う。だがむろん何が及第点かは分からないし、及第点ではダメだとも思う。ひとり反省会である。家族と焼肉に行っても、不意に何か思い出して「うわぁー」と軽く叫び頭を抱えたりする。自意識過剰と向上心との境い目がよく分からない。

ミクロ経済学入門の入門 (岩波新書)

ミクロ経済学入門の入門 (岩波新書)

 

久米宏ラジオなんですけど5/27

 5月27日に、TBSラジオの「久米宏ラジオなんですけど」にスタジオ出演します。番組は13時から14時半までです。どうぞご聴取ください。私の出演は13:15~13:45くらいの予定です。

 たぶん前回よりは、上手く喋れるようになっている、はずなのだ。短く喋って、きちんと会話のキャッチボールをしたい。ラジオやテレビで喋るのは、学会や講演で喋るのと、全く違う。そんなことに気づくのに、あるいは教えてもらう機会に遭うのに、ずいぶん時間がかかった。新しいことをするチャンスが与えられるのは、何よりありがたいことだ。

 6月23日に慶應丸の内キャンパスで講演「多数決ではない決め方と、多数決の正しい使い方」をします。よろしければお越しください。

朝日中高生新聞5/21号

 5/21付け今週号の「朝日中高生新聞」1-2面に、長めのインタビュー記事「誰もが納得いく選挙は?」が掲載されています。ASAで購入できるようなので、ご関心のある方は、どうぞ入手のうえ、ご覧ください。カラーの顔写真も載っていて、酷薄な笑いを浮かべているよ。

朝日学生新聞社 ジュニア朝日

 わたしは朝日小学生新聞を読んで育ったが、そのころ中高生新聞はなかったと思う。あったら親がとっていただろう。うちには朝日新聞、朝日小学生新聞、週刊朝日、AERAが揃ってたのだ。

 小学4年生のとき、独りで週刊朝日の「過保護な親チェックリスト」をやったことを覚えている。子供心に「ひょっとして自分は過保護に育てられているのではないか」と思っていたのだ。

 誌面のチェックリストはみるみる埋まって、どうも自分の親は過保護であり、それゆえ自分は堕落しやすいことが分かった。そして「親が過保護だという自覚のもとで育とう」と決意した。ただし、いま思うと、自分は発育が危なげで、要保護な子どもだったような気がする。

 だから何というわけでは全くないが、とにかく小学4年生というのは、決してあなどれない生き物なのだ。自分の娘はいま小学3年生である。彼女は最近、ものすごく色々なことを考えている様子だ。ときどきわたしは、彼女の自我が、理解力が、心の奥底が、怖いと感じる。生まれる前から知っている自分の娘が、どうも自分とは別の人間のようなのだ。

 わたしも自分の子どもから「うちの親は過保護だ」と思われたりするのだろうか。あるいはすでに思われているのか。それとも保護が足りないのだろうか。「新しいゲームソフトを買ってほしければ、テストの問題を解いたあとの見直しを徹底せよ」と要求するのは子供を舐めた行為で、高圧的だと思われているのだろうか。他人の考えていることはさっぱり分からない。 

『ミクロ入門の入門』雑記3(現状報告)

 おかげさまで新刊『ミクロ経済学入門の入門』(岩波新書)の出足が好調でございます。うちの近所の本屋では売り切れていたが、どうやったら再入荷してくれるのか分からない。今日は書店員さんに「ここにあった、みくろけいざいがくの岩波新書の、さ、再入荷は・・・」と聞きそうになったが、挙動不審になる自信があったのでやめておいた。 

ミクロ経済学入門の入門 (岩波新書)

ミクロ経済学入門の入門 (岩波新書)

 

  そんななか『多数決を疑う』(岩波新書)の10刷りと、『マーケットデザイン入門』(ミネルヴァ書房)の4刷りが決まりました。実にありがたいことだ。とくに3,000円以上する『マーケットデザイン入門』が7年にわたり堅調に売れていることは、快挙と言ってよいと思う。手前味噌だが、自分の書いた本のなかでは、この本の完成度が一番高いと思う。世界初のマーケットデザインの本であり、2010年の出版当時はおそろしいほど売れなかった。 

マーケットデザイン入門―オークションとマッチングの経済学

マーケットデザイン入門―オークションとマッチングの経済学

 

  はじめて本を出版したのが2008年なので、自分も今や書籍市場のプレイヤーとしては10年選手に近い。現在のさまざまな方々との交流は、本を出していなければありえないことだったので、ほんとうに本を書いてよかった。

 わたしはいわゆる「世間」とか「大衆」が好きだ。自分自身、世間のなかで生きているし、まぎれもなく大衆のひとりである。だから、自分が読みたいものを書けば、それなりに世間様が受け入れてくれているのだと思う。これは自分が凡庸であることの証左だが、幸運なことであって、非凡な人は大変であろうと思う。

多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書)

多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書)

 

 5月3日(水)NHK・Eテレ22時「オイコノミア」は、おかげさまで好評でございました。どうぞ5月10日(水)の放送分も、ご覧いただけると幸いです。

 

『ミクロ入門の入門』雑記2(マンガ大賞)

 今年の「マンガ大賞」が発表された。わたしは絶対に『アオアシ』というサッカーマンガが一位だと信じていたが、一位は『響』という文芸部マンガであった。『アオアシ』は四位である。ちなみにわたしの『多数決を疑う』は新書大賞の四位なので、四位とは私のなかでは特別な良い順位である。

 いちおう『響』を買って読んでみて、うん、まあ、これも面白いと思った。でも自分は『アオアシ』のほうが、圧倒的に面白いと思う。何がどう面白いのか細々説明したいのだが、ネタバレになるのでやらない。でも正直、他の候補作と比べても、こいつは圧勝だと思うのよ。

 最近は、また一巻から最新刊の八巻までを読み返して、これまで気づいてなかった作者の工夫に新たに気づいたり、以前と同じところで落涙したりしている。テーマやストーリーも、絵や構図も抜群で、ものすごい知力と技術が投入されている。ほんとうに考えられている。

アオアシ(1) (ビッグコミックス)

アオアシ(1) (ビッグコミックス)

 

 メジャー雑誌の看板マンガには、ものすごい工夫が詰め込まれている。わたしは、そこでの工夫のいくつかは、学問的な新書でも採り入れられると思う。一例はページレイアウトだ。本を見開いたときの構図をどう作るか。そんなことを学者も考えたほうがいいと思う。文章ありきではなく、見開き2ページのなかで図を含めたレイアウトを意識して、文章を作成するのだ。

 わたしはこのことを、新條まゆ先生の傑作『バカまん』に出会って学んだ。そうした細かな工夫の集積が、『ミクロ経済学入門の入門』の読みやすさを改善しているはずだと信じている。

バカでも描けるまんが教室―新條まゆの(裏)まんが入門 (フラワーコミックススペシャル)

バカでも描けるまんが教室―新條まゆの(裏)まんが入門 (フラワーコミックススペシャル)

 
ミクロ経済学入門の入門 (岩波新書)

ミクロ経済学入門の入門 (岩波新書)

 

 ところで『ミクロ経済学入門の入門』の著者が、Eテレ「オイコノミア」に出るよ。感心するのもがっかりするのも自由だから、とにかくまずは視聴してみよう。5月3日と10日、いずれも水曜日の夜10時からです。

『ミクロ入門の入門』雑記1(パン食い競争)

 新刊『ミクロ経済学入門の入門』が、今日いよいよ発売です。それに伴い、このブログに初めてお越しになる方もいらっしゃると思うので、ここが何なのか簡単に解説します。 

ミクロ経済学入門の入門 (岩波新書)

ミクロ経済学入門の入門 (岩波新書)

 

 このブログは日常雑記の置き場です。まれに言論めいたことを書くこともありますが、あくまで試し書きや、備忘録のようなもので、かなり適当です。一番多いのはマラソンにかんする記述だと思います。こちらはわりと真剣に記録や感想をつけています。

 更新は頻繁ではありません。でも約2年半続けているので、記事は結構たまっています。最初から読み進めると、たぶん次のような流れになっていると思います。

  • 『多数決を疑う』を書く途中で中年おじさんの体がガタガタになる。
  • 肉体改造というか、延命のための体づくりをはじめる。
  • ランニングを始めて10km走に出場するもひどくヒザをこわす(回復に3カ月)。
  • ハーフマラソンで2時間切れない。
  • フルマラソンで4時間切れない。
  • 2017東京マラソンで4時間切り達成。

 そんなこんなで駄文をいろいろ書き連ねていますが、自分がこれまで一番気に入っているのは幼稚園の運動会での「パン食い競争」の回です。自分以外の人が読んで面白いのかは不明ですが、わたしの周りではわりと評判がよかったものです。少なくとも情熱は込められている。

ミクロ経済学入門の入門(岩波新書)

 4月21日に岩波新書『ミクロ経済学入門の入門』を公刊します。ヨコ書きの選択肢もありましたが、やはり新書はタテ書きであるべきでしょう。眼球運動はタテのほうがしやすいしな。というわけで、タテ書きでミクロ経済学の新書です。カモン!

 岩波書店の「営業部だより」に寄せた短文をここに載せておきます。 

 経済学の入門書にちょっとした革命を起こしたい、というのが本書の作成のねらいです。通常ミクロ経済学の本というと、数式や複雑な図がたくさん出てきて、読むのがめんどくさいです。僕は経済学者ですが、それでも数式や複雑な図を追うのはめんどくさいです。あと、あんまり文体が硬い本は、読むのがしんどいほうです。

 この本はタテ書きの新書で、「入門の入門」なんて名乗っています。簡単な図と、わりとくだけた文章で説明が進みます。とても薄いので、たぶん短時間で読み終えられて、完読の充実感を味わいやすいと思います。

 でも内容はけっこうきっちりしています。標準的な均衡理論から、応用的なゲーム理論、さらにはIT社会を理解するためのネットワーク外部性まで扱っています。格差と不平等についても概念と測り方を説明しています。

 経済学に関心があるあなた、ミクロ経済学の授業が分からなくて困っているあなた、そして何となく興味をもってくれたあなたに、この本をおすすめします。第一章は「僕はコーラが好きだ」の一文からはじまります。あなたがコーラを好きでも好きでなくても、きっとすいすい読み進められると思います。

 さあみんな、4月21日には本屋へGOだ!

ミクロ経済学入門の入門 (岩波新書)

ミクロ経済学入門の入門 (岩波新書)

 

  そして5月3日と10日に、続けてオイコノミアに出演します。Eテレ水曜の夜10時からの番組です。3日は社会的選択理論、10日にはマッチング理論を扱います。面白いよ!

日比谷カレッジ4/28講演

 来たる4月28日(金)の19時から日比谷図書館の「日比谷カレッジ」で講演します。タイトルは『「多数決」を問い直す!―多数決が開けた21世紀のパンドラの箱―』です。定員200名の会場に、すでに90名以上の申し込みをいただいています! 先着順ですので、関心のある方は、ぜひお早めにお申し込みください。『多数決を疑う』の2017年ヴァージョンの話をする予定です。

http://hibiyal.jp/data/card.html?s=1&cno=2951

2000 年のアメリカ大統領選挙ではゴアがブッシュに優勢するなか、「第三の候補」ネーダーが参戦した。ネーダーは優位に立っていたゴアの票を致命的に喰い、ブッシュは「漁夫の利」で勝利をつかむ。翌年アメリカは同時多発テロの攻撃を受け、その後ブッシュは反撃の延長線上にイラク戦争を開始する。フセイン政権は倒したが、イラクの統治は安定しない。結局フセインの残党が勢力を盛り返して、それが「イスラム国」の母体となった。排外主義が世界を渦巻く2016 年、イギリスはEU からの離脱を国民投票で決め、アメリカはトランプ大統領を選出した。

いまこそ多数決を正面から論じるときだ(講師談)
多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書)

多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書)

 

  そしてこの講演あたりの時期に、岩波新赤版の二冊目を出します。まだAmazonに書影はあがっていませんが、『ミクロ経済学入門の入門』といいます。私なりに新境地の勝負作。 文字通りミクロ経済学の本で、入門の入門です。なんだ入門の入門て? わたしもよう分からんが、Don't think, feel ! 

 『決め方の経済学』は、台湾に引き続き、中国本土での翻訳が決まりました。いやあ、なんか、われながらグローバル人材だわあ。

「決め方」の経済学―――「みんなの意見のまとめ方」を科学する

「決め方」の経済学―――「みんなの意見のまとめ方」を科学する

 

 

肌ツヤのよい話

 先日、鏡を見たらやたらと自分の顔の肌ツヤがよい気がした。頬に赤みがさしており、チークを入れたようだ。昨日の撮影のメイクが残っているのかと思ったが、顔を洗っても頬の色味は変わらない。妻には「何か特別な美容をはじめた? 正直に教えて」と言われた。いったい自分は若返ったのかと思いつつ、体に妙な寒気がする。

 体温を測ると39度2分あった。肌の色味がよくなったというより、高熱で顔が赤くなっているのだ。そういえば子供がインフルエンザに罹っており、それがうつったに違いない。

 内科を受診して、インフルエンザB型と判定され、吸入薬をのんだ。風邪のあらゆる症状が体に出ており、大量の薬を処方してもらった。いささか投薬が過剰ではないか、医療財政的に問題ではないかと、ぼんやりした頭で思う。

 自分は年末にインフルエンザA型にかかっている。その3か月後にB型にもかかるとは思ってなかった。ワンシーズンで二度インフルエンザにかかるのは初めてだ。両方とも、子供の小学校経由で感染した。大学でインフルエンザをもらったことはない。おそらく小学生は、大学生と違って、インフルエンザに罹患しても登校するのだろう。大学生が小学生より賢いことの一つの証左である。

 体温が39度を超すと、怖いと感じる。下手をすると死ぬのではないかという思いがする。たとえばいまフルマラソンを走ったら自分は死ぬであろう。先日若くして病気で急死した女性アイドルのことが頭をかすめる。その無念について思いを馳せる。

 そんなこんなで家で寝込んでいる。幸いにも一家全員インフルエンザなので、皆が寝込んでおり、あまり家族のことを人間的にかまう必要がない。食事はすべて出前である。さっきは辛口のカレーを注文したが、あれた喉に辛さが染みわたって失敗であった。

選挙マルシェ基調講演3/11

 本日18時半から公選法の改正を目指すイベント「選挙マルシェ」で、基調講演「多数決を疑う」を行います。会場は、飯田橋の東京ボランティアセンター・市民活動センターAB会議室です。

多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書)

多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書)

 

  今週末は、この講演と、岩波新書『ミクロ経済学入門の入門』のゲラと、NHK・Eテレ「オイコノミア」の準備で、忙殺されている。

 『決め方の経済学』は台湾に続き、中国本土でも翻訳が出ることになりました。ありがとう! 

「決め方」の経済学―――「みんなの意見のまとめ方」を科学する

「決め方」の経済学―――「みんなの意見のまとめ方」を科学する

 

 

東京マラソン・サブ4達成!

 東京マラソンに出走してきた。倍率12倍をくぐりぬけての当選だ。昨晩まで微熱があったが、今朝起きたら引いていた。一年前の横浜マラソンのときもそうだった。知恵熱みたいなものだろうか。最初は体調は悪くなくとも、悪くなったら棄権しよう、あるいは歩いて完走しようと考えていた。

 こんど詳しくレビューを書くとして、結果は3時間58分19秒。まさかの、念願の、サブ4達成であった。後半にまったくスピードが落ちなかった。結果は下記のとおりだ。5kmをつねに27分台で安定して走っている(29分台の2回はトイレでのタイムロス)。 

地点名
Point
スプリット (ネットタイム)
Split (Net Time)
ラップ
Lap
通過時刻
Time
5km 00:43:06 (0:27:04) 0:27:04 09:53:06
10km 01:11:01 (0:54:59) 0:27:55 10:21:01
15km 01:40:44 (1:24:42) 0:29:43 10:50:44
20km 02:08:28 (1:52:26) 0:27:44 11:18:28
25km 02:36:25 (2:20:23) 0:27:57 11:46:25
30km 03:06:06 (2:50:04) 0:29:41 12:16:06
35km 03:33:55 (3:17:53) 0:27:49 12:43:55
40km 04:01:53 (3:45:51) 0:27:58 13:11:53
Finish 04:14:21 (3:58:19) 0:12:28 13:24:21

 いつかはサブ4をと願っていたが、現実的には困難だと思っていた。これまで走った3回のフルマラソンは、どれもタイムが4時間17分から25分のあいだであった。

 わたしはいつも前半に飛ばして、後半にひどく失速する。せっかちな性格がそうさせるのと、普段の練習では長距離を走らないがゆえのクセだ。だが東京マラソンはすごい人数のランナーがいるので、前半に飛ばしようがなかった。なんせ36000人も走っており、路上は早朝の新橋駅みたいに混んでいるのだ。 

 そして気付いたら後半でも脚がかなりフレッシュに残っていた。そんで「もしやサブ4いけるか?」とラップを計算して、そのとおりに走れた。「市民ランナーあるある」のひとつだと思うが、走りながらよく割り算をする。

 わたしは「練習しないで40代のスポーツ未経験者がサブ4を達成する方法」という新書でも出すべきではないだろうか。めっちゃ気合い入れて科学的根拠のない本を書けるんだけどなあ。こんど出版社の人に相談してみる。

 三田の近くでゼミ生が応援してくれていた。どうもありがとうございました。

アロー逝去

 ケネス・J・アロー教授が一昨日、享年95歳で亡くなられた。まさに巨星墜つ、である。3月8日に同氏の旧著の翻訳『組織の限界』(村上泰亮 訳)が、ちくま学芸文庫から出版されるが、わたしはそれにささやかな解説を寄せた。できれば解説の末尾に追悼文をもぐりこませたかったが、すでに印刷が済んでおり、できないようだ。

 今回あらためて村上泰亮の訳文を再読して、この格調の日本語は、いまの日本人は誰も書けないだろうと思ったりした。わたしは自分の書く日本語を、「村上春樹以後」のものだと思うし、ラノベがよく売れる時代の日本語だとも思う。村上泰亮のとはまったく似ていない。もちろんそれでかまわないし、わたしなりに「いま」の時代の日本語を書いてみたい。

組織の限界 (ちくま学芸文庫)

組織の限界 (ちくま学芸文庫)

 

 そんな作文意欲に動かされて新著を作成した。『ミクロ経済学入門の入門』という。予定どおり工程が進めば4月22日に、岩波新書の一冊として公刊される。わたしはすでに脱稿しており、いまはイラストレーターさんが多量の図表を作成している。

 なんだ「入門の入門」とは音が悪い、と思われるだろうか。たしかにそうかもしれない。でも字面は良いと思う。視覚的なインパクトがあると思う。タテ書きのミクロ経済学の新書で、非常に薄い。第1章は「僕はコーラが好きだ」という一文からはじまる。