読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

『ミクロ入門の入門』雑記2(マンガ大賞)

 今年の「マンガ大賞」が発表された。わたしは絶対に『アオアシ』というサッカーマンガが一位だと信じていたが、一位は『響』という文芸部マンガであった。『アオアシ』は四位である。ちなみにわたしの『多数決を疑う』は新書大賞の四位なので、四位とは私のなかでは特別な良い順位である。

 いちおう『響』を買って読んでみて、うん、まあ、これも面白いと思った。でも自分は『アオアシ』のほうが、圧倒的に面白いと思う。何がどう面白いのか細々説明したいのだが、ネタバレになるのでやらない。でも正直、他の候補作と比べても、こいつは圧勝だと思うのよ。

 最近は、また一巻から最新刊の八巻までを読み返して、これまで気づいてなかった作者の工夫に新たに気づいたり、以前と同じところで落涙したりしている。テーマやストーリーも、絵や構図も抜群で、ものすごい知力と技術が投入されている。ほんとうに考えられている。

アオアシ(1) (ビッグコミックス)

アオアシ(1) (ビッグコミックス)

 

 メジャー雑誌の看板マンガには、ものすごい工夫が詰め込まれている。わたしは、そこでの工夫のいくつかは、学問的な新書でも採り入れられると思う。一例はページレイアウトだ。本を見開いたときの構図をどう作るか。そんなことを学者も考えたほうがいいと思う。文章ありきではなく、見開き2ページのなかで図を含めたレイアウトを意識して、文章を作成するのだ。

 わたしはこのことを、新條まゆ先生の傑作『バカまん』に出会って学んだ。そうした細かな工夫の集積が、『ミクロ経済学入門の入門』の読みやすさを改善しているはずだと信じている。

バカでも描けるまんが教室―新條まゆの(裏)まんが入門 (フラワーコミックススペシャル)

バカでも描けるまんが教室―新條まゆの(裏)まんが入門 (フラワーコミックススペシャル)

 
ミクロ経済学入門の入門 (岩波新書)

ミクロ経済学入門の入門 (岩波新書)

 

 ところで『ミクロ経済学入門の入門』の著者が、Eテレ「オイコノミア」に出るよ! 本よりまともな人か、そうでないのかよく分からないけれど、とりあえず素で出てるから、「あーあ、この人、こんなんなんだー」ということが分かるよ。感心するのもがっかりするのも自由だから、とにかくまずは視聴してみよう。5月3日と10日、いずれも水曜日の夜10時からです。

『ミクロ入門の入門』雑記1(パン食い競争)

 新刊『ミクロ経済学入門の入門』が、今日いよいよ発売です。それに伴い、このブログに初めてお越しになる方もいらっしゃると思うので、ここが何なのか簡単に解説します。 

ミクロ経済学入門の入門 (岩波新書)

ミクロ経済学入門の入門 (岩波新書)

 

 このブログは日常雑記の置き場です。まれに言論めいたことを書くこともありますが、あくまで試し書きや、備忘録のようなもので、かなり適当です。一番多いのはマラソンにかんする記述だと思います。こちらはわりと真剣に記録や感想をつけています。

 更新は頻繁ではありません。でも約2年半続けているので、記事は結構たまっています。最初から読み進めると、たぶん次のような流れになっていると思います。

  • 『多数決を疑う』を書く途中で中年おじさんの体がガタガタになる。
  • 肉体改造というか、延命のための体づくりをはじめる。
  • ランニングを始めて10km走に出場するもひどくヒザをこわす(回復に3カ月)。
  • ハーフマラソンで2時間切れない。
  • フルマラソンで4時間切れない。
  • 2017東京マラソンで4時間切り達成。

 そんなこんなで駄文をいろいろ書き連ねていますが、自分がこれまで一番気に入っているのは幼稚園の運動会での「パン食い競争」の回です。自分以外の人が読んで面白いのかは不明ですが、わたしの周りではわりと評判がよかったものです。少なくとも情熱は込められている。

ミクロ経済学入門の入門(岩波新書)

 4月21日に岩波新書『ミクロ経済学入門の入門』を公刊します。ヨコ書きの選択肢もありましたが、やはり新書はタテ書きであるべきでしょう。眼球運動はタテのほうがしやすいしな。というわけで、タテ書きでミクロ経済学の新書です。カモン!

 岩波書店の「営業部だより」に寄せた短文をここに載せておきます。 

 経済学の入門書にちょっとした革命を起こしたい、というのが本書の作成のねらいです。通常ミクロ経済学の本というと、数式や複雑な図がたくさん出てきて、読むのがめんどくさいです。僕は経済学者ですが、それでも数式や複雑な図を追うのはめんどくさいです。あと、あんまり文体が硬い本は、読むのがしんどいほうです。

 この本はタテ書きの新書で、「入門の入門」なんて名乗っています。簡単な図と、わりとくだけた文章で説明が進みます。とても薄いので、たぶん短時間で読み終えられて、完読の充実感を味わいやすいと思います。

 でも内容はけっこうきっちりしています。標準的な均衡理論から、応用的なゲーム理論、さらにはIT社会を理解するためのネットワーク外部性まで扱っています。格差と不平等についても概念と測り方を説明しています。

 経済学に関心があるあなた、ミクロ経済学の授業が分からなくて困っているあなた、そして何となく興味をもってくれたあなたに、この本をおすすめします。第一章は「僕はコーラが好きだ」の一文からはじまります。あなたがコーラを好きでも好きでなくても、きっとすいすい読み進められると思います。

 さあみんな、4月21日には本屋へGOだ!

ミクロ経済学入門の入門 (岩波新書)

ミクロ経済学入門の入門 (岩波新書)

 

  そして5月3日と10日に、続けてオイコノミアに出演します。Eテレ水曜の夜10時からの番組です。3日は社会的選択理論、10日にはマッチング理論を扱います。面白いよ!

日比谷カレッジ4/28講演

 来たる4月28日(金)の19時から日比谷図書館の「日比谷カレッジ」で講演します。タイトルは『「多数決」を問い直す!―多数決が開けた21世紀のパンドラの箱―』です。定員200名の会場に、すでに90名以上の申し込みをいただいています! 先着順ですので、関心のある方は、ぜひお早めにお申し込みください。『多数決を疑う』の2017年ヴァージョンの話をする予定です。

http://hibiyal.jp/data/card.html?s=1&cno=2951

2000 年のアメリカ大統領選挙ではゴアがブッシュに優勢するなか、「第三の候補」ネーダーが参戦した。ネーダーは優位に立っていたゴアの票を致命的に喰い、ブッシュは「漁夫の利」で勝利をつかむ。翌年アメリカは同時多発テロの攻撃を受け、その後ブッシュは反撃の延長線上にイラク戦争を開始する。フセイン政権は倒したが、イラクの統治は安定しない。結局フセインの残党が勢力を盛り返して、それが「イスラム国」の母体となった。排外主義が世界を渦巻く2016 年、イギリスはEU からの離脱を国民投票で決め、アメリカはトランプ大統領を選出した。

いまこそ多数決を正面から論じるときだ(講師談)
多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書)

多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書)

 

  そしてこの講演あたりの時期に、岩波新赤版の二冊目を出します。まだAmazonに書影はあがっていませんが、『ミクロ経済学入門の入門』といいます。私なりに新境地の勝負作。 文字通りミクロ経済学の本で、入門の入門です。なんだ入門の入門て? わたしもよう分からんが、Don't think, feel ! 

 『決め方の経済学』は、台湾に引き続き、中国本土での翻訳が決まりました。いやあ、なんか、われながらグローバル人材だわあ。

「決め方」の経済学―――「みんなの意見のまとめ方」を科学する

「決め方」の経済学―――「みんなの意見のまとめ方」を科学する

 

 

肌ツヤのよい話

 先日、鏡を見たらやたらと自分の顔の肌ツヤがよい気がした。頬に赤みがさしており、チークを入れたようだ。昨日の撮影のメイクが残っているのかと思ったが、顔を洗っても頬の色味は変わらない。妻には「何か特別な美容をはじめた? 正直に教えて」と言われた。いったい自分は若返ったのかと思いつつ、体に妙な寒気がする。

 体温を測ると39度2分あった。肌の色味がよくなったというより、高熱で顔が赤くなっているのだ。そういえば子供がインフルエンザに罹っており、それがうつったに違いない。

 内科を受診して、インフルエンザB型と判定され、吸入薬をのんだ。風邪のあらゆる症状が体に出ており、大量の薬を処方してもらった。いささか投薬が過剰ではないか、医療財政的に問題ではないかと、ぼんやりした頭で思う。

 自分は年末にインフルエンザA型にかかっている。その3か月後にB型にもかかるとは思ってなかった。ワンシーズンで二度インフルエンザにかかるのは初めてだ。両方とも、子供の小学校経由で感染した。大学でインフルエンザをもらったことはない。おそらく小学生は、大学生と違って、インフルエンザに罹患しても登校するのだろう。大学生が小学生より賢いことの一つの証左である。

 体温が39度を超すと、怖いと感じる。下手をすると死ぬのではないかという思いがする。たとえばいまフルマラソンを走ったら自分は死ぬであろう。先日若くして病気で急死した女性アイドルのことが頭をかすめる。その無念について思いを馳せる。

 そんなこんなで家で寝込んでいる。幸いにも一家全員インフルエンザなので、皆が寝込んでおり、あまり家族のことを人間的にかまう必要がない。食事はすべて出前である。さっきは辛口のカレーを注文したが、あれた喉に辛さが染みわたって失敗であった。

選挙マルシェ基調講演3/11

 本日18時半から公選法の改正を目指すイベント「選挙マルシェ」で、基調講演「多数決を疑う」を行います。会場は、飯田橋の東京ボランティアセンター・市民活動センターAB会議室です。

多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書)

多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書)

 

  今週末は、この講演と、岩波新書『ミクロ経済学入門の入門』のゲラと、NHK・Eテレ「オイコノミア」の準備で、忙殺されている。

 『決め方の経済学』は台湾に続き、中国本土でも翻訳が出ることになりました。ありがとう! 

「決め方」の経済学―――「みんなの意見のまとめ方」を科学する

「決め方」の経済学―――「みんなの意見のまとめ方」を科学する

 

 

東京マラソン・サブ4達成!

 東京マラソンに出走してきた。倍率12倍をくぐりぬけての当選だ。昨晩まで微熱があったが、今朝起きたら引いていた。一年前の横浜マラソンのときもそうだった。知恵熱みたいなものだろうか。最初は体調は悪くなくとも、悪くなったら棄権しよう、あるいは歩いて完走しようと考えていた。

 こんど詳しくレビューを書くとして、結果は3時間58分19秒。まさかの、念願の、サブ4達成であった。後半にまったくスピードが落ちなかった。結果は下記のとおりだ。5kmをつねに27分台で安定して走っている(29分台の2回はトイレでのタイムロス)。 

地点名
Point
スプリット (ネットタイム)
Split (Net Time)
ラップ
Lap
通過時刻
Time
5km 00:43:06 (0:27:04) 0:27:04 09:53:06
10km 01:11:01 (0:54:59) 0:27:55 10:21:01
15km 01:40:44 (1:24:42) 0:29:43 10:50:44
20km 02:08:28 (1:52:26) 0:27:44 11:18:28
25km 02:36:25 (2:20:23) 0:27:57 11:46:25
30km 03:06:06 (2:50:04) 0:29:41 12:16:06
35km 03:33:55 (3:17:53) 0:27:49 12:43:55
40km 04:01:53 (3:45:51) 0:27:58 13:11:53
Finish 04:14:21 (3:58:19) 0:12:28 13:24:21

 いつかはサブ4をと願っていたが、現実的には困難だと思っていた。これまで走った3回のフルマラソンは、どれもタイムが4時間17分から25分のあいだであった。

 わたしはいつも前半に飛ばして、後半にひどく失速する。せっかちな性格がそうさせるのと、普段の練習では長距離を走らないがゆえのクセだ。だが東京マラソンはすごい人数のランナーがいるので、前半に飛ばしようがなかった。なんせ36000人も走っており、路上は早朝の新橋駅みたいに混んでいるのだ。 

 そして気付いたら後半でも脚がかなりフレッシュに残っていた。そんで「もしやサブ4いけるか?」とラップを計算して、そのとおりに走れた。「市民ランナーあるある」のひとつだと思うが、走りながらよく割り算をする。

 わたしは「練習しないで40代のスポーツ未経験者がサブ4を達成する方法」という新書でも出すべきではないだろうか。めっちゃ気合い入れて科学的根拠のない本を書けるんだけどなあ。こんど出版社の人に相談してみる。

 三田の近くでゼミ生が応援してくれていた。どうもありがとうございました。

アロー逝去

 ケネス・J・アロー教授が一昨日、享年95歳で亡くなられた。まさに巨星墜つ、である。3月8日に同氏の旧著の翻訳『組織の限界』(村上泰亮 訳)が、ちくま学芸文庫から出版されるが、わたしはそれにささやかな解説を寄せた。できれば解説の末尾に追悼文をもぐりこませたかったが、すでに印刷が済んでおり、できないようだ。

 今回あらためて村上泰亮の訳文を再読して、この格調の日本語は、いまの日本人は誰も書けないだろうと思ったりした。わたしは自分の書く日本語を、「村上春樹以後」のものだと思うし、ラノベがよく売れる時代の日本語だとも思う。村上泰亮のとはまったく似ていない。もちろんそれでかまわないし、わたしなりに「いま」の時代の日本語を書いてみたい。

組織の限界 (ちくま学芸文庫)

組織の限界 (ちくま学芸文庫)

 

 そんな作文意欲に動かされて新著を作成した。『ミクロ経済学入門の入門』という。予定どおり工程が進めば4月22日に、岩波新書の一冊として公刊される。わたしはすでに脱稿しており、いまはイラストレーターさんが多量の図表を作成している。

 なんだ「入門の入門」とは音が悪い、と思われるだろうか。たしかにそうかもしれない。でも字面は良いと思う。視覚的なインパクトがあると思う。タテ書きのミクロ経済学の新書で、非常に薄い。第1章は「僕はコーラが好きだ」という一文からはじまる。

アロー『組織の限界』ちくま学芸文庫

 20世紀を代表する経済書のひとつ、ケネス・J・アロー『組織の限界』(村上泰亮 訳)が、3月に「ちくま学芸文庫」から出版されます。これまで同書の翻訳は岩波書店から出されていましたが、現在は版が途切れていました。私の学者人生において、最も大きな影響を受けた本のひとつです。そしてこの度の文庫化で、解説を書く機会をいただきました。光栄すぎる。

 アロー、村上泰亮、さらには筑摩書房への私の愛が詰まった解説文になっていますので、よろしければご覧ください。書影はまだあがっていない。 

組織の限界 (ちくま学芸文庫)

組織の限界 (ちくま学芸文庫)

 

  『現代思想』の3月臨時増刊号に「美しいセオリー」をお題に寄稿しています。こちらもよろしければどうぞです。「美は重要ではない」というエッセイを寄せています。 

現代思想 2017年3月臨時増刊号 総特集◎知のトップランナー50人の美しいセオリー

現代思想 2017年3月臨時増刊号 総特集◎知のトップランナー50人の美しいセオリー

  • 作者: 養老孟司,茂木健一郎,池田清彦,長谷川眞理子,渡辺政隆,長沼毅,山極寿一,佐藤文隆,黒川信重,円城塔,大澤真幸,小泉武夫,吉村作治
  • 出版社/メーカー: 青土社
  • 発売日: 2017/02/14
  • メディア: ムック
  • この商品を含むブログを見る
 

 

『現代思想』美しいセオリー

 青土社『現代思想』特集「美しいセオリー」の4000字原稿の締切が、今日である。昨日から書き始めて、いま先ほど書き終えた。もちろん構想自体は以前から練っていた。何時間か寝かせて、もう一度推敲して、今日の日付のうちに編集部に提出する。正直言って、間に合うとは思ってなかった。ウェーイ!

 年末年始は、大晦日も正月も、ひたすら原稿を書き続けていた。子供の勉強も、宿題以外は、ぜんぜん見なかった。お父さんはこのままだと社会的信用を失いそうで、すでに多少は失っているが、これ以上は失いたくないのだ。

 『現代思想』に寄稿するのは初めてだ。締め切り仕事が山積し、これ以上引き受けると俺は破綻すると思っていた日に依頼が来た。「美しいセオリー」だなんて、お題が良すぎるので迷わず引き受けた。そしてやはり、お題が良すぎるので、すいすい書けた。こういうのは私ではなく編集者がえらいのである。

  もともと自分は締め切りをとても守る。完成度を下げても期日までに提出する。Done is better than perfection が信条だからだ。しかし、どうしようもないときには、お願いして延ばしてもらうこともある。常識の範囲内で頼むので、大抵は許してくれるが、許されないこともある。そして、いま書いている新刊は許されなかった。だがそのおかげで、年末年始は危機感を持って作業に集中し、これは2017年のスケジュールの玉突き的乱れを阻止してくれることになった。岩のように波のように厳しくて温かい岩波書店が好きだ。

 そして自宅にこもれると書き物ははかどると、当たり前のことを実感した。最近、自分の書く能力が低下したと思っていたが、たぶん自宅にこもれなくなっていただけである。要するに、何かを書くにはまとまった時間が必要なのだ。

 今日は福澤諭吉先生の誕生日なので、授業は休講である。塾生諸君に会えないのはさみしいが、今日が休講で助かった。

青土社 ||現代思想:現代思想2017年3月臨時増刊号 総特集=知のトップランナー46人の美しいセオリー

大井ハーフマラソン1/7

 大井スポーツの森で開かれた「品川マラソンフェスタ2017 Winter」のハーフマラソンを走ってきた。こんなのに出場しないで家で締め切り仕事を片付けようかとも思ったが、人生のほうが大切である。

 1周3kmの周回コースを、7周とちょっと走るコースだ。このコースを走るのは3回目。給水は毎周ごとに、水とスポーツドリンクがある。ハーフの距離ならこれで十分と思う。

 埋め立て地の公園をぐるぐる廻るだけの単調きわまりないコースだが、私のように景色を味わう余裕のないランナーにとっては問題ではない。景色は変わらずとも、脚の重さや心のゆとりは時間が経つにつれ変わるから、心象風景は変わる。ドラマはおのれの心のなかにあるのだ。

 今回の予想タイムは1時間48分30秒。だいたいまあ、キロ5分10秒で走れたらそんくらいかな、と思ったからだ。このキロ当たりというのは、住宅でいう坪単価みたいな、ざっくりした目安だ。実際のタイムは1時間49分24秒で、男子の部で45位/147人だった。思ったよりコースの実質距離(直線の一本道を走るわけではないので)が長くて、GPS時計によると21.5kmは走っていた。コースの取り方が下手だったのかもしれない。でもけっこう頑張った。

 こうして1時間50分は切れたわけだが、終盤はちょっときつかった。ゴール後に脚がつりそうであることに気づいた。これではフルマラソンを4時間以内で走ることなど到底できない。7周のうちの4周目くらいから、徐々に脚が重くなっている。最近ひどい練習不足なうえ、たまに走っても10kmだから、長距離走の練習になっていない。2月末の東京マラソンには間に合わない。

 実に困った。で、私にとってフルマラソンとは、こんなことをアレコレ考える遊びなので、いまは自分の実力不足を痛感して楽しんでいるのだ。42kmの走行は、愉しみの一部に過ぎず、しかもそんなに楽しくない。

三田祭金賞

 慶應坂井ゼミの三田論「望ましい三役選出ルールの提案」が、三田祭の論文コンクールで金賞を獲得しました。書いたのは(もちろん)僕でなくてゼミ生です。快挙すぎる。3限の「上級ミクロ」の授業前に教えてもらったので、授業を始めるときに、はしゃいで舞った。ウェーイ! ウェーイ! みんなぁ、ウェイウェイだよぉ!!

 内容は、学級会で「代表・副代表・書記」をどう選ぶかという、社会的選択とジョブマッチングを組み合わせた、かなりオリジナルな論文です。アイデアもとても良いのですが、Rulal Hospital Theoremを上手に活用した理論分析が煌いています。うちのゼミ生はほんとうに優秀で、凄いものだと感心します。

 そんな社会的選択とマーケットデザインな坂井ゼミですが、ゼミではなぜかJohn Rawls『Lectures on the History of Political Philosophy』を読んでいます。僕たちの合言葉は熟議的理性の行使で、ゼミの雰囲気は穏やかなティータイムのようです。

Lectures on the History of Political Philosophy

Lectures on the History of Political Philosophy

 

 坂井ゼミは7期生を募集しています。出願には、成績表と『多数決を疑う』の論評2000字を求めております。これは出願のコストを上げることで倍率を下げるシグナリングという仕組みです。三田でゲーム理論を勉強すると、シグナリングはもっと意味が分かるようになります。

 ゼミ生によると、坂井ゼミはエグゼミではなく、また夜18時にきっかり終わるのが良いところだそうです。要するに割とラクなのだと思います。でも陰山コラムによると、だらだら勉強するのは、勉強しているのではなく、だらだらすることを学んでいるのだそうです。僕も夜は早くおうちに帰って、お茶を飲んだりマンガを読んだりしたいです。毎日『ドルメンX』の4巻はまだなのか?まだ?いつ?みたいなことばかり考えて暮らしています。

家族も自分も幸せになる!  陰山手帳2017 ライト版

家族も自分も幸せになる! 陰山手帳2017 ライト版

 

 

ドルメンX 1 (ビッグコミックス)

ドルメンX 1 (ビッグコミックス)

 

 

「週刊ダイヤモンド」2016年ベスト経済書3位

 『決め方の経済学』が、週刊ダイヤモンド(12月26日発売)による「2016年ベスト経済書」の第3位に選出されました。投票してくださった皆さま、どうもありがとうございました。

「決め方」の経済学―――「みんなの意見のまとめ方」を科学する

「決め方」の経済学―――「みんなの意見のまとめ方」を科学する

 

 さて、相変わらずどうでもいいことを書きますね。地元のマラソン大会は、下は幼稚園から上は80歳くらいまで、幅広い年齢層の参加者がいる。おそらく41歳の自分は、年齢的には参加者の真ん中くらいだと思う。

 少なくとも市民ランナーにとって、長距離走は、誰かに勝つわけでも負けるわけでもなく、他人と比較する競技ではない。そのうえで言うのだが、小学生に負けたくない、と私の心が叫んでいる。

 われながら不思議である。自分の人生で、小学生をライバル視することなど、これまで一度もなかったはずだ。とくに私が学生時代に、海軍兵学校出身の指導教授から一番よく教わったことは「競争相手は同学年の者」である。いかにも早稲田大学らしい、深いような浅いような教えだが、とにかく小学生とは競争しなくてよい。

 でもランの大会で、自分の前を小学生が走っていると、こいつには負けたくないと闘志が沸いてくる。そして大抵の場合、終盤あたりでギリギリ追い越せて、逆転する。終盤での持久力だけは、おじさんのほうが辛うじて上回っているのだ。今から一年後には、私は一歳老いており、この子は一年ぶん成長しているだろうから、そんな逆転はできないだろう。だが今日の時点では被食者を追う捕食者の気分でヒャッハー!

 と、日々を過ごしていたら、風邪を引いてしまった。経験的に、自分はフルマラソン走っても過労しても風邪を引かないが、フルマラソン後に過労すると体をこわす。病院の暗い待合室で長く待っていると、頭のなかに、ちあきなおみ「喝采」のメロディーが流れてくる。暗い待合室 話す人もない私の耳に 私の歌が通り過ぎてゆく。本当に病院の待合室で流したら不吉だが、名曲である。

 あまりに長い待ち時間に、持参していた星野源のエッセイ集『蘇る変態』を読み終えた。この人の本を初めて読んだが、すばらしく文章が上手い。彼のように多方面で才能を開花させることは、巨大な欲望がなければ不可能だろう。

 欲望と時間との折り合いを付けることは大変だ。星野氏は時間をどうやりくりしているのか、この果てにこの人は何者になるのか、ところで時間の優先順位を厳しく付けていると経済モデルの合理的個人みたいになる、などと高熱の頭でぼんやり考えていると診察室から「15ばんの坂井さーん」と呼び出された。 

蘇える変態

蘇える変態

 

 

TBSラジオ12/17「久米宏 ラジオなんですけど」

 今日はTBSラジオ「久米宏 ラジオなんですけど」に電話出演した。公開生放送をするかしないかを決めるリスナー国民投票へのコメントだ。自宅の電話での会話が電波に乗るというのは、不思議な気がするが、慣れてはきた。予定時間の前に、電話の前に座って、発声練習をする。「なにぬねの」が苦手なので「なねにぬねのなの」には時間をかけ、両手で顔の筋肉をもみほぐす。

 ラジオに出て「今日は上手く喋れた」と思えるとき・そうでないときがある。もちろんそれは自分の主観にすぎない。リスナーがどう思ったかは分からないし、自分で番組を聴きかえす度胸はない。

 ただ、上手く喋れたと思えるのは、話せた内容はともかく、淀みなく喋れて、話に流れがあって、最後をきちんと締められたときだ。そしてこれは、私の技術というよりは、私を誘導するパーソナリティの技術である。久米宏氏が、こうした技術の超達人であることは、いうまでもない。会話後の私には心地よい感覚だけが残る。凄いものだ。

 久米さんほどの高みはもちろん望めないが、自分ももうちょっと日常の会話が上手になりたいと思う。それは性格のみならず、少なからず技術の問題だと思うのだけれど、どうしたら上達するのかよく分からない。

 

 今日で年内の、取材、講演、出演などの喋り仕事をすべて終えた。12月下旬のものは、年明けの1月にまわしてもらった。

 短期的には、新著を一冊書きあげねばならない。その合間に某思想誌に4000字の原稿と、某経済誌に5000字の原稿と、某文庫に6000字の解説を書き、某共著の原稿8000字×3の改訂をせねばならない。どの仕事も喜んで引き受けたものだが、完遂できる気がしない。

 精神的にキツくなると、「実は自分は天才で、あるとき夢のように素晴らしい原稿が短時間で出来上がる」と夢想することがある。もちろん夢想は夢想に過ぎないので、時間をかけコツコツ書き進めるしかない。やりたいことは色々あるし、企画を考えているときは楽しいものだが、実際にやるのは大変である。

 気分転換に犬の散歩をして帰宅すると、郵便受けにアマルティア・セン『経済学と倫理学』(ちくま学芸文庫)が恵投されていた。大学ではなく自宅に本が送られるのは珍しい。どうもありがとうございました。

アマルティア・セン講義 経済学と倫理学 (ちくま学芸文庫)

アマルティア・セン講義 経済学と倫理学 (ちくま学芸文庫)

 

 

「決め方」重版御礼

 12月は様々な会合だらけでひたすら人と喋っている。今日は『多数決を疑う』の講演をします。場所は千代田区の日本大学経済学部です。

学術講演会のお知らせ|中国・アジア研究センター|研究所・研究センター|日本大学経済学部 

多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書)

多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書)

 

  先日は、日本経済新聞などが主催の「エコノミスト懇親会」に出席してきた。普段お世話になっている人にまとめて挨拶できたり、今後の仕事の打ち合わせができるので、たいへんありがたい。黒田総裁が乾杯の音頭、途中で安倍首相が挨拶にいらした。あとは、ゼミの卒業生の父上が一人いらした。世の中は狭い。

 そして『決め方の経済学』(ダイヤモンド社)に重版がかかった。初刷りが多めだったこともあるが、重版まで5カ月かかった。これでようやく肩の荷が下りた気がする。読者の皆さまに深謝いたします。 今日あたりから2刷りも書店に並び始めます。

「決め方」の経済学―――「みんなの意見のまとめ方」を科学する

「決め方」の経済学―――「みんなの意見のまとめ方」を科学する

 

  この『決め方の経済学』の編集者氏が担当している別の出版物に、陰山メソッドで有名な陰山先生の「陰山手帳」がある。書店で見比べたが、自分には「ライト」のほうがよさそう。というわけで、来年から「陰山手帳ライト」を使うことにした。一行日記をつけるのだ。

家族も自分も幸せになる!  陰山手帳2017 ライト版

家族も自分も幸せになる! 陰山手帳2017 ライト版