『ミクロ入門の入門』雑記2(マンガ大賞)

 今年の「マンガ大賞」が発表された。わたしは絶対に『アオアシ』というサッカーマンガが一位だと信じていたが、一位は『響』という文芸部マンガであった。『アオアシ』は四位である。ちなみにわたしの『多数決を疑う』は新書大賞の四位なので、四位とは私のなかでは特別な良い順位である。

 いちおう『響』を買って読んでみて、うん、まあ、これも面白いと思った。でも自分は『アオアシ』のほうが、圧倒的に面白いと思う。何がどう面白いのか細々説明したいのだが、ネタバレになるのでやらない。でも正直、他の候補作と比べても、こいつは圧勝だと思うのよ。

 最近は、また一巻から最新刊の八巻までを読み返して、これまで気づいてなかった作者の工夫に新たに気づいたり、以前と同じところで落涙したりしている。テーマやストーリーも、絵や構図も抜群で、ものすごい知力と技術が投入されている。ほんとうに考えられている。

アオアシ(1) (ビッグコミックス)

アオアシ(1) (ビッグコミックス)

 

 メジャー雑誌の看板マンガには、ものすごい工夫が詰め込まれている。わたしは、そこでの工夫のいくつかは、学問的な新書でも採り入れられると思う。一例はページレイアウトだ。本を見開いたときの構図をどう作るか。そんなことを学者も考えたほうがいいと思う。文章ありきではなく、見開き2ページのなかで図を含めたレイアウトを意識して、文章を作成するのだ。

 わたしはこのことを、新條まゆ先生の傑作『バカまん』に出会って学んだ。そうした細かな工夫の集積が、『ミクロ経済学入門の入門』の読みやすさを改善しているはずだと信じている。

バカでも描けるまんが教室―新條まゆの(裏)まんが入門 (フラワーコミックススペシャル)

バカでも描けるまんが教室―新條まゆの(裏)まんが入門 (フラワーコミックススペシャル)

 
ミクロ経済学入門の入門 (岩波新書)

ミクロ経済学入門の入門 (岩波新書)

 

 ところで『ミクロ経済学入門の入門』の著者が、Eテレ「オイコノミア」に出るよ。感心するのもがっかりするのも自由だから、とにかくまずは視聴してみよう。5月3日と10日、いずれも水曜日の夜10時からです。