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月例横浜10km(10月)

 横浜の月例10kmランに参加してきた。今回は大失態で、10分以上遅刻してしまった。自宅から鶴見川の最寄りの土手まで行って、そこから新横浜あたりまで上流へと8kmほどロードを漕いだら会場に着くのだが、なぜか下流へ進んでしまったのだ。間抜けすぎる。しかし鶴見川は途中で川の合流が複雑にあって三叉路みたいで、土手にいるとどっちがどっちか分からなくなることがあるのだ。自分だけだろうか。

 というわけで公式記録は気にしないで、GPS時計で自己満足することにする。そもそも私のラン自体が自己満で、しかも鶴見川まで来るとはその度合いが高いのだ。タイムだって自己計測で心を満たせばよい。

 しかしこの遅刻が実はとてもよかった。なんとけっこうな人助けになったのだ。それは後述するとして、今回の目標は10kmを50分切りだ。キロ5分で10km。たぶんきっちりタイムの管理をすれば、それはできる。そして、できた。

  •   1km 4:39
  •   2km 4:53
  •   3km 4:58
  •   4km 4:55
  •   5km 5:03
  •   6km 5:00
  •   7km 4:56
  •   8km 5:00
  •   9km 5:05
  • 10km 5:00
  •  ロス  0:16
  •  合計 49:45(10.06km)

 超ご機嫌である。

 タイムを気にして走るのは、楽しいかと言われれば、あんまり楽しくない。一定の速度をキープするので、時間が経つにつれ段々しんどくなってくる。なのに何故そんなことをするのかと言えば、やはり楽しいからだ。つくづく楽しみや悦びは、快楽とは相当異なる概念だと思う。

 この日は10月なのに、かなり気温が上がって、走りながら暑いと思った。前回のハーフマラソンと同様、今回も「男梅グミ」は重宝した。塩分の補給に最適である。暑くてぼうっとしてきたときに、これを口にすると、一気にしゃっきりする。飴と違って口のなかでゴロゴロしない。地球上すべてのランナーに「男梅グミ」を強く勧めたい。 

ノーベル 男梅グミ 38g×6個

ノーベル 男梅グミ 38g×6個

 

 私は10kmの部に出たので、それが終わったら帰宅である。だがまだコースでは20kmの部の人たちが走っている。 そして私の帰り道は、そのコースなのだ(貸し切りではない)。だから20kmランナーの邪魔にならないよう、道のはしっこをそろそろと自転車を漕いでいた。記録更新でごきげんなので、気持ちよくヒャッハーと唄を歌ったりする。

 そのときである。すれ違った20kmランナーのひとりが、「この先に人が倒れてるよ」と私に告げ、走り去っていったのだ。んんん? それは言葉通り受け取れば、人が倒れているという事実の表明に過ぎない。だが、それをわざわざ私に告げるとは、倒れている人を救えという行為の要請なのであろうか。

 と思って先に進むと、たしかにランナーが仰向けに倒れていた。すでに介護している人がいるが、私も自転車を降り、それに加わる。体温は上がってないので、熱中症ではなさそう。意識はある。

 まずは手持ちのスポーツ系ジェルを、倒れている人の口に(了解のうえ)入れた。しかし、あまり効いてない気がする。たぶん効率的に塩分を取る必要があるのだ。そこで続けて塩気の強い、男梅グミをお口に投与した。ひとつ、またひとつ。どうだ。

 「どうですか」と、彼の頭を膝に乗せた、別の男性ランナーが尋ねる。すると彼は目を閉じたま小声を振り絞って、「いまの、意識戻る」と喋ったのだ。男梅グミで、意識が戻る。むろん彼の意識はもともとあるので、正確には意識の状態が向上するのであろう。秋晴れの河川敷での、思いがけぬ出来事。私は彼の様子を確かめながら、その小さく開いた口に、男梅グミをまた運んでゆく。市民ランナー同士の連帯を通じた救命作業だが、これはこれで、ちょっとしたBL的光景ではなかろうか。

 やはり塩分不足で脱水症状だったのか、男梅グミのおかげで、少しずつ回復のご様子。うーん、男梅グミすごい! そのあいだに他のランナーが、ドリンクを買ってきてくれたり、大会運営の人を連れてきてくれたりした。やがて本人は立ち上がれるようになり、付き添いの方もいらして一件落着。いやあ最初はどうなるかと思ったが本当に良かった。

 私が遅刻しなければ、このタイミングでここに居合わせなかったのは確実なので、これは結果的に遅刻が大正解ということだ。「やはり俺は持ってるなあ」と思いながら、いっそうご機嫌でロードを漕ぎ家路に着いたのであった。