肌ツヤのよい話

 先日、鏡を見たらやたらと自分の顔の肌ツヤがよい気がした。頬に赤みがさしており、チークを入れたようだ。昨日の撮影のメイクが残っているのかと思ったが、顔を洗っても頬の色味は変わらない。妻には「何か特別な美容をはじめた? 正直に教えて」と言われた。いったい自分は若返ったのかと思いつつ、体に妙な寒気がする。

 体温を測ると39度2分あった。肌の色味がよくなったというより、高熱で顔が赤くなっているのだ。そういえば子供がインフルエンザに罹っており、それがうつったに違いない。

 内科を受診して、インフルエンザB型と判定され、吸入薬をのんだ。風邪のあらゆる症状が体に出ており、大量の薬を処方してもらった。いささか投薬が過剰ではないか、医療財政的に問題ではないかと、ぼんやりした頭で思う。

 自分は年末にインフルエンザA型にかかっている。その3か月後にB型にもかかるとは思ってなかった。ワンシーズンで二度インフルエンザにかかるのは初めてだ。両方とも、子供の小学校経由で感染した。大学でインフルエンザをもらったことはない。おそらく小学生は、大学生と違って、インフルエンザに罹患しても登校するのだろう。大学生が小学生より賢いことの一つの証左である。

 体温が39度を超すと、怖いと感じる。下手をすると死ぬのではないかという思いがする。たとえばいまフルマラソンを走ったら自分は死ぬであろう。先日若くして病気で急死した女性アイドルのことが頭をかすめる。その無念について思いを馳せる。

 そんなこんなで家で寝込んでいる。幸いにも一家全員インフルエンザなので、皆が寝込んでおり、あまり家族のことを人間的にかまう必要がない。食事はすべて出前である。さっきは辛口のカレーを注文したが、あれた喉に辛さが染みわたって失敗であった。