『現代思想』美しいセオリー

 青土社『現代思想』特集「美しいセオリー」の4000字原稿の締切が、今日である。昨日から書き始めて、いま先ほど書き終えた。もちろん構想自体は以前から練っていた。何時間か寝かせて、もう一度推敲して、今日の日付のうちに編集部に提出する。正直言って、間に合うとは思ってなかった。ウェーイ!

 年末年始は、大晦日も正月も、ひたすら原稿を書き続けていた。子供の勉強も、宿題以外は、ぜんぜん見なかった。お父さんはこのままだと社会的信用を失いそうで、すでに多少は失っているが、これ以上は失いたくないのだ。

 『現代思想』に寄稿するのは初めてだ。締め切り仕事が山積し、これ以上引き受けると俺は破綻すると思っていた日に依頼が来た。「美しいセオリー」だなんて、お題が良すぎるので迷わず引き受けた。そしてやはり、お題が良すぎるので、すいすい書けた。こういうのは私ではなく編集者がえらいのである。

  もともと自分は締め切りをとても守る。完成度を下げても期日までに提出する。Done is better than perfection が信条だからだ。しかし、どうしようもないときには、お願いして延ばしてもらうこともある。常識の範囲内で頼むので、大抵は許してくれるが、許されないこともある。そして、いま書いている新刊は許されなかった。だがそのおかげで、年末年始は危機感を持って作業に集中し、これは2017年のスケジュールの玉突き的乱れを阻止してくれることになった。岩のように波のように厳しくて温かい岩波書店が好きだ。

 そして自宅にこもれると書き物ははかどると、当たり前のことを実感した。最近、自分の書く能力が低下したと思っていたが、たぶん自宅にこもれなくなっていただけである。要するに、何かを書くにはまとまった時間が必要なのだ。

 今日は福澤諭吉先生の誕生日なので、授業は休講である。塾生諸君に会えないのはさみしいが、今日が休講で助かった。

青土社 ||現代思想:現代思想2017年3月臨時増刊号 総特集=知のトップランナー46人の美しいセオリー