ナッシュ均衡

 4人で本を作成している。1人あたり8000字×3本だ。締め切りは9月末。こういうのって、みなさん、締め切り通りに書くものなのか? 多忙な彼らはどうせ間に合わないだろうと思って、完全に放置していた。「誰も間に合わない」がナッシュ均衡になると予測していたのだ。

 そんで「どーしよっかなー、いつ書こうかなー」とフンフン思っていたら、4人のうち1人が、3本揃えてさっさと提出してしまった。これは理論家として予測していなかった。非難しようのない、巧みな嫌がらせである。つくづく自分の色んな才のなさを感じる。

 というわけで、9月20日を過ぎてから、あせって書き始めた。いま1本だけ草稿を書けた。たぶん9月末には「ごめんなさい、2本だけ草稿を用意しました」と謝罪するだろう。とりま「多数決」はできて、「GDP」はどうにかなるかもで、「公正」は間に合わない。

 夏に遊んでいたわけではない。今年の8月には、1回しか自転車に乗っていない。毎週1万字は書いていたし、色んな人と喋った。家族で旅行にも行った。よい夏だった。

 そして夏が終わって、片付かない原稿だけが残った。明日から授業が始まるから、もう時間はない。9月が40日まであることを祈る。 

18歳からの格差論

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