6月28日(火)にジュンク堂池袋本店で、岩波新書『18歳からの民主主義』の刊行記念トークイベントに出演します。お題は「アメリカ大統領選にみる多数決の罠」です。19時開場、19時半開演、入場料はドリンク付きで1000円です。まだ残席がありますので、どうぞお越しください。
http://honto.jp/store/news/detail_041000019039.html?shgcd=HB300
入場には事前の予約が必要です。ジュンク堂への電話03-5956-6111で申し込めます。さあ、いますぐ電話をかけるんだ! 「6月28日の『18歳からの民主主義』のトークイベント」で通じます。オンラインでの受け付けはないようですが、店舗1階のサービスカウンターでは直接申し込めます。
私が何をしゃべるのかというと、トランプ旋風吹き荒れるアメリカ大統領選で、多数決という「決め方」がいかにトランプに有利に働いたかを説明します。そしてまた、トランプに限らず、近年のヨーロッパでの極右政党の躍進と、多数決の関係について話します。内容はとくに難しくなくて、ざっくばらんに話す、カジュアルなトークイベントです。
以下は話のさわりです。
私はよく、多数決は票の割れに致命的に弱い、という説明や指摘をします。2000年の米大統領選だと、ゴアがブッシュに優勢していたところ、ネーダーが参戦してゴアの票を絶妙に食ってブッシュが逆転勝利、というように。
今回のトランプは、共和党の指名を得る予備選挙で、とりわけ序盤に相手側で「票の割れ」が起こり、漁夫の利で勝利をおさめた面があります。また、トランプ自身も「票の割れ」を活用する自覚が明確にあって、それについて、なかなかえげつない言動をしています。
イベントでしゃべる内容の一部を、時系列でお見せすると次のようになります:
- 2000年に多数決が奇妙に働いてブッシュが大統領選で勝った。
- 2001年にブッシュは大統領に就任、同時多発テロに遭う。
- 2002年の国連安全保障理事会で、日本を含む15か国の満場一致で、イラクに「無条件かつ無制限の大量破壊兵器査察」を求める決議1441が採択。起草したのは米英。
- 2003年にブッシュの主導で、決議1441への違反をひとつの理由として、イラク戦争が開始。
- フセイン政権は倒れ、イラクは「民主化」するものの、統治は安定しない。フセイン・バース党の残党が、いわゆる「イスラム国」ISを結成して勢力を拡大して、いまや世界的な安全保障上の脅威。
- ISの脅威化に伴い、移民排斥を訴える極右政党がヨーロッパで躍進する。極右政党は「悪目立ち」するので右翼まわりの票が集中する。一方で、普通の党たちのあいだでは票は割れる。つまり極右政党は、多数決では上位に食い込みやすい。だからよく「多数決で2位になり、決選投票に進む」ことがある。決選投票では負けても、決選投票に進めたこと自体が大きなアピールになり、党勢が強くなる。2002年の仏大統領選で、まさかの「国民戦線」が決選投票に進んだルペン・ショックはその典型例。最近だと先月のオーストリア大統領選で、極右候補ホーファーが決選投票に進み、そこでは僅差で負けた。
- 2015年には、やはり移民排斥を訴えるトランプが共和党内で躍進。そこでは(決選投票もついていない単純な)多数決という決め方が、トランプに絶妙に有利に働く。
そしてこの辺りの話は、7月1日に刊行される新著『決め方の経済学』でも色々と扱っています。Amazonにも書影が出たが、わりといい感じではなかろうか。なんというか、夏色サイダー? 梅雨が終わったら海に行きたい。
「決め方」の経済学―――「みんなの意見のまとめ方」を科学する
- 作者: 坂井豊貴
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/07/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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