月例川崎10km(9月)

 9月の月例川崎10kmランで、記録が50:50だった。走歴1年2カ月、初の50分台、私にとっては快挙である。

 私は昨年のこの大会で腸脛靭帯炎になって、三カ月以上まともに歩けなくなった。いま思うと結構なケガである。そのとき無理やり走ったタイムが51:27だ。われながら愚かだが、治るケガでよかったとも今は思う。だからこのタイムを「ケガなしで」更新するのが、回復して以来、叶いそうにない大目標であった。そして回復後のタイムは55分前後をさまよっていた。

 その回の目標は53分切りだったけれど、最初キロ5分で走っているうちに、あれ、このスピードが維持できそうだという感じで走り続けられて、まさかの50分台が実現できた。ものすごく意外であった。

 これまでランで「想定より上手くいく」を経験したことがない。だいたい想定通りの現実的な結果が出るか、それより上手くいかないかのどっちかである。それが上手くいったのだ。

 理由はおそらく、スピードを出す練習を採り入れたことだ。これまでの私にとってキロ5分は非常に速く、通常の目安はキロ5分30秒から5分40秒だったのだ。しかしそのスピードで練習してもタイムはなかなか上がらない。どうしたものかと思っていた。

 そんななか9月に実家に帰ったとき、たまたま自分が小学六年生のときの、1500m大会の記録証を見付けた。タイムは約6分、つまりキロ4分である。意外に速い。そしてそれを見てなんとなく、スピードを上げてみるかなあと思ったのだ。ちなみにいま現在、私は1500mを6分では走れないと思う(ケガしたら嫌なので挑戦しない)。

  練習の強度を上げると故障の確率が高まるので、一度痛い思いをした私は、それまでスピードアップに前向きではなかった。しかしハーフマラソンも二度出て無故障だったし、脚の筋トレも成果が出てきている様子だし、多少は強度を上げても大丈夫だろうと思ったのだ。

 それとソニーのウォークマンが壊れたのをきっかけに、走るときに音楽を聴くのをやめた。もともと聴かなくてもいいんじゃないかと思ってはいたのだ。聴覚以外の五感が下がって、フォームの維持とペースの管理には、明らかにマイナスなのだ。これは奏功して、自分のGPS時計の計測だと、そのときの10kmは順に

  •   1km 4:58
  •   2km 5:00
  •   3km 5:08
  •   4km 5:11
  •   5km 5:08
  •   6km 5:06
  •   7km 5:03
  •   8km 5:00
  •   9km 5:01
  • 10km 4:49
  •   ロス 0:25
  •   合計 50:49(10.1km)

であった。かなり上手くイーブンペースになっている。イーブンペースが大事とは聞くが、今回それをはじめて真面目に実行したのだ。

 それと、コース取りに気を付けた。これまでは10km走だと、斜めに走行するなどで200mくらいロスが発生し、合計10.2kmくらい走っていたが、今回はロスを100mに抑えられた。タイムにすると30秒短縮できたことになる。それにしても、意識すると抑えられるものなのだなあと感心する。

 というわけで、ずいぶんレースで走るのが上手くなったように思う。もはや初心者ではない気がする。来週のハーフマラソンも2時間は切れるのではないか。そしてこのとき、はじめて自分のなかに、フルマラソンを走ってみたいという欲望が生まれた。

Number Do(ナンバー・ドゥ)vol.23ランの未来学。 (Sports Graphic Number PLUS)

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