「大阪都構想」選挙への雑感

 「大阪都構想」というか、大阪市解体選挙は、もちろん固唾を呑んで結果発表を見ていた。私は住民投票じたいには肯定的だ。もっと日本で色々な直接選挙ができるようになったらいいと思う。今回は僅差で否決された。そして、こんなものは政策でなく政治だから、否決されてよかったと心底思う。

 橋下氏は多数決と民主主義を混同している。いたずらに多数決を尊重するのは単なる多数決主義(マジョリタリアニズム)であり、それは「私たち」をどうにか尊重しようとする民主主義とは、ひどく異なるものだ。そして民主主義の根幹、統治者と被治者の一致において最も重要なのは、「私たち」をシュミット的な「敵・友」に分断させぬよう、どうにか合意形成を探ることだ。もちろんそれは果てしなく面倒くさくて楽しくないうえ、劇場性に欠けるのだけれど。

 橋下氏が敗戦会見で「民主主義は素晴らしい、戦を仕掛けて負けても命を取られない」のように言っていた。だが人の命を保護するのは、民主主義というよりは、むしろ立憲主義のほうだろう。ルワンダ・ジェノサイドのように、人が少数派に属するだけで合法的に虐殺されることは、人類史には結構ある。だから多数派に好き勝手させない立憲主義的抑制が大事、つまり憲法とそれを尊重する文化が大事、ということだ。

 改憲が今回と同じノリで進められてはかなわない、とつくづく思った。 

多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書)

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