経済教室「『民意』の絶対視にも問題」(2012/8/15 日経朝刊)

 昨年、2012年8月15日の日経朝刊「経済教室」欄に寄稿した拙稿、「『民意』の絶対視にも問題」のPDFファイルをあげておきます(教材用に形式を修正しています)。中位投票者定理により当時の消費増税に関する政党対立を考察し、オストロゴルスキーのパラドックスを紹介しています。

http://www.geocities.jp/toyotaka_sakai/nikkei-2012-sakai.pdf

 最後の段落はルソーとコンドルセ流の考え方で、多数決を、一般意志と合致する選択肢を見付けだす手段として捉えるものです。11月に日本評論社から上梓する予定の著書『社会的選択理論への招待』ではこれについて詳しく触れます。

 

 これを書いていたときには自民党と民主党が「二大政党」のようになっており、ダウンジアン二大政党モデルの説明がうまく当てはまったのですが、今は自民党がひとり勝ちなので、大分状況が違います。

 ちなみにこの原稿は、消費増税案が衆院を通過したあとで、「参院も問題なく通過するだろう」と思い、それを前提に書いて、いったん編集部に提出していました。ところがその後、参院は通らない可能性が出てきて、修正も検討しておくことになりました。しかし結局は、家族と旅行中にテレビで参院通過を確認できて、そのままでよいということで安堵したのでした。

 ところで、これに限らず、このHPにリンクを貼った私の書き物は、授業や勉強会などでお好きに使っていただいて結構です(リンクを貼ったり、コピーを配布したり、自由にしてください)。