やはり風邪が治らぬ

 風邪が治らない。明日の横浜マラソンに出られるか五分五分な気がする。出場の可能性を残すため、今からみなとみらいまで、前日の受付に行かねばならない。当日受付とかオンライン受付とか、できないのか。そもそも受付しないマラソンだってあるだろう。なにゆえ前日に受付?

 ああ、しかし、こんなことなら周りの人に、「横浜マラソン出るんすよ!」とか言わなければよかった。あああ、出場して、やはり体調が悪くて途中でリタイヤとか、絶対にしたくない。

 と「うわああああ」と思っていたら、土曜日の今日、岩波書店から宅急便でゲラが届いた。岩波新書別冊『18歳からの民主主義』に寄稿する「選挙」6000字のゲラだ。月曜日には返送してくれとな。

 マラソン後の体調で仕事ができるとは到底思えないので、さっそく休日返上でゲラの直しをする。たくさん直すところがあった。んで、さっき、終えた。ついでに、3月15日に締め切りの6000字(某財団機関誌)の原稿の、最初の1000字を書いた。マラソン後に入院しなければ、たぶんこれはギリギリ間に合うはず。

 ただし3月15日の確定申告に間に合うかがよく分からない。3月17日は一橋『経済研究』寄稿のゲラ直し締め切り。んで、4月10日はいま大詰めの作業をしている単行本まる一冊の完成予定日で、4月28日は9400字(某新聞社の雑誌)の原稿締め切り。

 そんなこと、できるのだろうか。ちょっと無理ではないのか。

 これは真面目にいうのだが、原稿が締切に間に合うかどうかは、編集者の腕前によるところが大きい。適度な心理的圧迫とか普段の笑顔とか、全人格的圧力の問題である。みんな頑張ってオラに書かせてほしい。

 とりあえず今からマスク付けて、みなとみらいに行って、受付してくる。

風邪が治らぬ

 週末の日曜日に横浜マラソンだというのに、風邪が治らない。ネットで「風邪 マラソン」で検索すると、風邪なのに走ったランナーや、走るのを思いとどまったランナーなどの、いろいろな体験記がある。どれも参考になるし、どれも参考にならん。百人百様である。

 微熱以下くらいなら走ってもよいのでは、でも風邪のぶん苦しいよ、というのが最大公約数的なまとめだろうか。今のところ、当日の出発前の体温が37度未満だったら、風邪薬を飲んで走ろうかと思っている。何のためかは知らない。

 こういうことをゼミ生に相談すると、彼らは一様に「自分なら走りますよ!」と言う。ウェーイな塾生の発想で、わたしは彼らのこういう所が好きだが、必ずしも賢明な選択というわけではなかろう。

 それに自分は、若い学生ではない。だが、だが、トップコンディションでないと戦えないというのは、なんか違うよなあ、と思う。

 分別ある大人としては休むべきだが、分別に欠けているので仕方がない。市販の風邪薬で抑えられる程度のまま、これ以上、悪化しないことを祈る。 

風邪を引いた

 たくさん締め切り原稿がある。さらに週末には横浜マラソンがある。なのに風邪を引いた。ううー、手洗いとうがいを励行していたのに。このままだと原稿を放置したまま、風邪の状態で42.195kmを走ることになる。

 先日、66歳の父が東京マラソンを好タイムで完走し、その一週間後にハーフマラソンに出ていた。無茶である。私が風邪ごときで脚を止めてはならない。

 父子つながりだが、最近「刃牙」シリーズを夢中で読み直している。「刃牙道」の10巻も発売当日に品川駅の駅ナカ書店で買った。電車のなかで読んでいて、本当に、漫画を持つというか、握る手がグイッと力む。漫画を読むというより、もはや物理的体験である。

刃牙道 10 (少年チャンピオン・コミックス)

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  春になりつつあるので、自転車に乗る気分を上げるべく、また筋トレへのモチベーションを高めるべく、「弱虫ペダル」の44巻も買った。アブアブ対決もよかったが、小毬君の最高筋肉(いいにく)へのピュアな欲望に胸を打たれた。私のピュアな欲望とは何だろう。中年になって、守りの人生になってきた気がして、どうもよろしくない。とりあえず風邪を情熱的に治したい。 

弱虫ペダル 44 (少年チャンピオン・コミックス)

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袋井フル42km(その5)

 記録証を手に取り見た。わたしが初めて走ったフルマラソンである、袋井クラウンメロンマラソンのタイムは、ネットで4:24:39(グロス4:25:10)だった。

 ストレッチで身体をクールダウンしたほうがよいのだろうけど、全身がビキビキしていて、できない。

 何かの本で「フルマラソンは全治10日間のケガ」と読んだ。脚はもちろん、内臓疲労とかが結構すごいのである。とりあえずヘパリーゼと、スポーツ後用の栄養剤を飲んだ。とりあえず、明らかなケガはない。とくに、膝と足裏が大丈夫そうなのはよかった。あとは細々した故障が後日出てくるだろう。

ゼリア ヘパリーゼW 2粒X10袋

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 各所に筋肉痛があるが、荷物の預かり所まできちんと歩けた。荷物を受け取り、虚脱したり考え事をしたりしていると、ゼミ卒業生のスズキ君が僕を見付けてくれた。とても嬉しい。彼が撮ってくれた写真。

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 鍛えていた箇所は、筋肉痛がすぐに収まった。10月のハーフマラソンで内転筋不足を感じていたので、そこを一カ月半重点的に筋トレしていたが、それが奏功した。だがなかなかハードな全身疲労。

 掛川駅に向かい新幹線に乗ったが、気持ちだけで動いているようなものだ。その気持ちのなかに「ああ、トライアスロンに出てみたい」といったものがありはするが(溺死する気がするのでやらない)。だが、ああ、冒険は楽しかった。

 新横浜からタクシーに乗ったが、最寄り駅に自転車を置いてきたのを思い出し、自宅ではなく最寄り駅に止めてもらう(最寄り駅は新横浜駅とアクセスがイマイチなのだ。だが新横浜駅は大抵の駅とアクセスがイマイチである)。そこから3分ほど自転車。おう、フルマラソン後の自転車は、短時間とはいえなかなかきついぜ。

 その週はなんか頭がアホになって使い物にならなかった。授業をしたはずだが、とにかく頭がまともに回らず、ろれつが悪く、しかし機嫌は良かった気がする。

 普段の筋トレのおかげか、全身の筋肉痛は二日ほどでだいたい引いた。翌々日になって右足裏に軽度の筋膜炎が出たが、2週間ほど全く走らなかったら治った。レースから1週間後に筋トレを再開した。

 何というか、ハードに遊んでイチからやり直し、みたいな気分である。

 以上で私のフルマラソン初体験記は終わり。書き上げるのにやたら時間がかかったのは、マラソンのために後回しにした仕事が山積していたからです。それと、42km(というかほぼ43km)を振り返るのは、ブログで手短にまとめるのには不向きなのだと思います。

 しかし私もせっかくの経験だし、1kmごとに経過を記録したブログも他にないような気がしたので、自己満足とささやかな公共財供給を兼ねて、こうしてまとめた次第である。私と同じく初めてフルマラソンを走る人には、多少の参考になるのではないかと思う。フルマラソンの何が楽しいのか。私にとってそれは、長時間かけて準備して短時間で弾けるお祭りのようなものである。諸行無常のつかの間を生きる喜び。【完】

袋井フル42km(その4)

 前半はハイペースで走ったつもりだが、トイレやら補給やらで時間がかかる。何だかんだで結局はハイペースではなく、2時間の時点で、22kmには届いていない。とにかくいまの目標は次の10kmをキロ5分30秒で走ることだ。

 この10kmの記憶はほとんどない。よくわからんが必死であったのだ。特に楽しかった記憶も、苦しかった記憶もない。山の坂道が多かった気がする。

  • 22km 5:31
  • 23km 5:34
  • 24km 5:41
  • 25km 5:42
  • 26km 6:09 水分補給した

 こうして振り返ると、この5キロは一度も5分30秒を切れていない。すでに脚が消耗してきているのだ。

  • 27km 5:32
  • 28km 5:36
  • 29km 6:37 トイレがすいていたので行った。

 トイレで1分ほどのタイムロス。いちいちこんなのを「ロス」と考えるな・普通に楽しめと今は思うのだが、そのときは心の余裕がなかった。とは言えそれなりに快走ではある。

  • 30km 5:39

 自分のなかで最長、未踏の30kmに到達である。なるほど30km走とはこんなものか、案外できるものだ。マラソンは30kmが折り返し地点というので、そのように心づもりをする。

  • 31km 5:55

 いかん、キロ6分近くまでタイムが落ちている。冷静に考えれば、すでにこの時点で4時間切りなど絶望的、100%ムリなのだが、その事実を受け止められずにいる。どうにかなるのではないか、奇跡のように持ちこたえるのではないか、との希望にすがっている。

 脚が重くなってきている。顔が上がらず、下向きになる。沿道で手を振ってくれる地元の子供たちに愛想笑いもできない。もともとそんなに清くない心が濁りはじめる。

  • 32km 5:32

 この1kmは、われながら本当によく頑張ったと思う。えらい、根性ある、自分をほめてやりたい。脚が重いなか、無理やり5:55から5:32に早めたのだ。しかしまだ、これではダメだ、5:30以内でないとダメなのだ。もっと全力を出すのだ。

  • 33km 5:49

 全力を出して、5:49だった。これはもう4時間切りなど絶対に無理だ。こんなことは普通に考えれば、21km過ぎの地点でとうに分かっていることだ。しかし冷静を失して普通じゃないので、気付くのに33kmまでかかったぜ! そしてこのとき、私のなかでスコーンと何かが抜けた。

  • 34km 7:13

 すごいタイムの落ち方ではないか。本当に「スコーン」と抜けたのだ。気力がついえたのか、グリコーゲンが枯渇したのか、よく分からないが、端的に言って走力不足であろう。すでに31kmあたりで走力は限界に達していた。それを33kmまで無理やりペースを維持して走っていた。それができなくなっただけだ。どんどん人に抜かれていく。

  • 35km 7:54

 何十・何百人単位で抜かれていく。精一杯走っているのだが、身体がなかなか前に進まない。気合は上等なつもりだし、上半身は普通に動くのでグリコーゲンは残っているはずだ。脚はケガしてないし、マメもできていない(できそうな箇所には事前対処してある)。しかし遅くしか走れないのだ。ほとんど「走る」の速さに到達していない。

 ああ、そして、寒い! キロ5分台で走っていると、体温が高くなるので、寒中のなか薄着のランでも体は温かい。しかしキロ8分近くとはもはや早歩きの速度、体温がぜんぜん上がらないのだ。ビュウと吹く木枯らしが身体を貫く。ポケットに入れていたアームウォーマーを装着するが、それでも寒い。

 残り8kmか。普段ならキロ5分の40分で終了、軽めの練習だ。しかしキロ8分かかるとは、8×8=64分! こんな寒中のなか、あと64分も走るのか。何と途方もなく長い時間だろう。

  • 36km 8:08

 平地なのに、ここまでタイムが落ちるものなのか。たしかこの辺りは曇り空の下、線路沿いを走っていた。寒くて、気持ちが下がる。いったいいつゴールするのだろう?

 頭がわけが分からなくなって、ランと無関係なことを唐突に考え始める。「りっ、りっけんしゅぎ?」 ああ、来週は長谷部先生の講演に行くのだ。せっかくの機会、いろいろ質問するのだ。何を聞こう? とか考え始めたが、もちろんこんな状態では何も考えられない。「はっ、イカン」と思って正気に戻った。立憲主義のことはマラソンのダメージが回復してから考えよう。

  • 37km 7:18

 正気に戻ったら、少しタイムが回復した。遅いことに開き直った。その心境に至るのに、3kmくらいかかった。そして走れることや、家族や職場や友人やらに、感謝の祈りを捧げた。ああ、信仰も持たないくせにそんな宗教的なことをするのは、きっと最近「それとも」を読んでいるせいだ。なんだこの絶妙なタイトルは。

共和国か宗教か、それとも:十九世紀フランスの光と闇

共和国か宗教か、それとも:十九世紀フランスの光と闇

  市民ランナーの父が、以前「親の言うことは聞いておくものだ」「補給所では出ているフードを全種類食べるように」とアドバイスしてくれたのを思い出す。わたしも自分の子供を見ていて、この人たちはもっと親の言うことを聞けばいいのに、とよく思う。というわけで、次の補給では開き直って、父の言いつけ通りフードをたくさん食べることを決めて、重い足取りで走り進む。

  • 38km 9:36

 補給所に到着すると、いつしか曇天の雲がきれいに去り、晴れ渡っていた。この9:36という非常に遅いタイムは、補給所で完全に走行停止して、のんびりとデザートタイムを満喫したからだ。フルーツがたくさんあった。

 とくにミカンがおいしい。ミカンは消化によくないし、栄養もそんなにラン向けではないと思う。だが、とにかくラン中のミカンはおいしくて、心身が生き返る。

 そして苺を食べはじめたら、あんまりおいしくて、止まらなくなり8個食べた。もうこの辺はアニマル化しているので節操が無い。うほうっほ。こんなに苺を夢中で食べたのははじめてだ。あまずっぱー。甘みと酸味が心身に染み渡る。バナナもうまい。

 そして、ああ、ここにはコーラがある! これはたぶん大会運営ではなく、地元の方の私設エイド。コーラは大人気だ。小さなカップで2杯飲んだ。コーラほど体にいい飲み物は他にないと思う。心身がリフレッシュされる。ああ、残りの約4kmを情熱的にフィニッシュしよう、と前向きな気持ちになる。

  • 39km 7:49

 前向きな気持ちになって、しかしのろのろ走っていると、しばらくして上り坂が始まった。これは会場のエコパへの道で、要するにこれから会場までひたすら上り坂なのである。誰だこんなコース考えた奴。俺に試練を課したいのか。

  • 40km 7:16
  • 41km 7:34

 走っているうちに、このコースは試練というより、刑罰ではないかと思うようになった。黙々とこなす果てしなき単調作業。多数決を疑った罪への罰だろうか。思想犯だ。周りのランナーも皆、明らかにペースが落ちている。こんなコースで一緒に苦しむ同胞たちに、独特の連帯さえ感じるぜ。ソリダルノシチ!

  • 42km 8:02

 これは私が遅いのではなく、コースを考えた奴が悪いのである。ぐにゃぐにゃした坂道を上がって、エコパ近辺に着いてから、そこからがまた、なんか長い。なんだこの迂回路みたいなコースは。ハイセンスな匠(たくみ)がサディスティックに作った、絶妙な加減で心を折りにくるコースだ。

 エコパ内のトラックにいよいよ突入。スタジアムの付近から、そこまでが遠かった。トラックも広いが、ゴールが見える。電光掲示板にタイムが映っている。4時間23分台? 手を広げてゴールする。ゴールするときは下を向き走る足元を見つめて通過を確認。走り終え、息を戻しながら、「ああ、走り終わった」と思った。静かな喜び。ゴール後にジューシーなクラウンメロンを二切れいただいた。有り難い。

  • ラスト0.86km 6:34

  マラソンは42.195kmというが、コース取りの関係上、計42.86km走った。ちょっと長すぎではないだろうか。42.5kmくらいだと予想していたのだが。

 記録証をもらいに行く。記録はネットタイムで、4:24:39(グロス 4:25:10)であった。4時間半は切れたので、サブ4.5は達成である。当初の堅実な予想通りの、そしてそれゆえ甘い期待の実らなかった、何とも実力通りの結果だと思う。ああしかし、去年の今頃は、まさか一年後に自分がフルマラソンを走るなんて、思っていなかった。【次回最終回へ続く】

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袋井フル42km(その3)

 号砲が鳴り会場のエコパのトラックからスタートした。42kmの作戦は「キロ5分30秒で走り続ける。維持できなくなったら自然に減速」である。これが「作戦」と呼ぶに値するものかは知らないが、それくらいしか思いつかないのだ。

 もし5分30秒がずっと維持できれば、ギリギリ4時間を切れてサブ4達成のはずだ。計算上は、キロ5分40秒でも42kmを4時間切りは可能である。しかしトイレや補給や曲がり道ロスなどを考えると、事実上は、キロ5分30秒がサブ4達成の最低ラインではなかろうか。そして私は、自分がキロ5分30秒を42km維持できるとは考えていない。

 以下、42キロの旅路を振り返りたい。

  • 1km 5:28 スタート地点は混んでいたので、これはわりとハイペース。
  • 2km 5:11 下り坂があったにせよ、ハイペースである。
  • 3km 5:41 上り坂でスローダウン、しかし多分これはハイペース。たしかこの辺でトンネルがあった。トンネルを走ったのは初めてだ。
  • 4km 5:51 スローダウンだが、上り坂だったのだろうか。
  • 5km 5:08 これは飛ばし過ぎであろう。

 ここで水分補給があった。持参していた男梅グミを一粒口に入れる。今回は、5kmに一度、男梅グミを一粒摂取することにしている。男梅グミで人命救助をしたこともある私に言わせれば、これが最適な塩分補給であり、広く世の市民ランナーに推奨したい。これより頻度が高いと、塩分過剰でのどが渇く。これより頻度が低いと、塩分不足である(これは危険)。参考までに、私の体重は55kgです。 

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 最初の5kmは、わけもわからず駆け抜けた。坂道は練習しているので、へっちゃらだぜーと思う、というか、思い込もうとしている。でないとやっていけない。ここでしんどいなどと思っていては、この後の37kmを乗り切れるわけがない。

  • 6km 5:09 いま思うとこれはハイペースであろう。
  • 7km 5:18 まだハイペースである。
  • 8km 5:23  同上
  • 9km 5:33 気分よく走っている。

 沿道の子供とハイタッチするのが愉しい。これは本当に力が出るのだ。沿道の人たちが応援してくれるので、礼儀正しくにこにこ振る舞う。

  • 10km 5:33 やはり気分がよい。想像以上に走れている。

 計算してないが、最初の10kmはだいたい55分くらいだろうか。普段の10km大会は50分以内で走るので、これは気持ちいいペース。

  • 11km 6:52 一度目のトイレ。並ぶのに、1分20秒ほどロス。行列並び中に、携帯していた「スポーツようかん」を食べた。おいしくて高カロリー。消化されて栄養になるまで時間がかかるので、これは終盤用のエネルギーチャージ。 
    井村屋 スポーツようかんプラス40g(5本入)

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 今回トイレは10kmおきに行くことにしている。この一回だけで1分20秒のロスだ。10kmで80秒ということは、トイレに一回行くためには、毎キロ8秒の貯金が必要ということだ。おそろしい。

  • 12km 5:24 坂道だったが上りだったか下りだったか覚えてない。山だった。
  • 13km 5:06 山だった気がする。なんか小雨?だった。
  • 14km 5:16 山と谷だ。
  • 15km 5:44 水分補給したが、意外と時間を取る。20秒ほどロスしている。
  • 16km 5:16 田園地帯?だった気がする。
  • 17km 5:25 このへんも田園地帯だ。
  • 18km 5:27 いやあこの辺の家は大きいなあと感心。私も郊外のでかい家に住みたい。
  • 19km 5:36 すごい多幸感。超愛想よく沿道の皆様にご挨拶。

 不思議なもので、ハーフマラソンならこの辺りで苦しくなるのだが、今回は全くならない。ペースは決して遅くないのに、しんどくもない。多幸感が強い。大人数で、沿道の声援を浴びながら、公道を走るのは、明らかな非日常である。お祭り感がすごい。やったことないけど、岸和田のだんじりとか、こんな感じなのだろうか。たぶん脳内で変な物質がどばどば出ている。

  • 20km 5:42 おお、もうすぐ半分ではないか。この辺から山中?
  • 21km 8:52 半分の地点で、2度目のトイレ。行列が長くて、3分ほどロス。その間に携帯していた補給ゼリーを飲む。 

 おそらくこれで、終盤にエネルギー切れで体が動かなくなるハンガーノックは避けられるはず。この辺の要領は自転車で慣れているので何となく分かる(自転車のほうが、ランより、熱中症やハンガーノックに思いがけずなる危険性が高い気がする。すいません素人の印象です)。

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 トイレ待ちにかかった3分のタイムロスを、とても気にしてしまう。おい、3分削りだすのって、どれだけ大変か分かるのかよ。コツコツ貯めた私のタイムが、他人の、そして自分の排泄行為により失われてゆく。一銭単位でコストを気にする自動車会社のエンジニアが、為替変動で何十億円損失とか、そんな気分だ。自分勝手なうえ、分かりにくい喩えですまない。

 前半の21kmは、たぶんハーフの自己新ペースで走った。フルマラソンでこれは間違いなくハイペース、ミステークである。しかしミステークしない初フルというものが、果たして可能なのだろうか。42kmを均等のイーブンペースで走るのが理想だという。しかしそんな難しいこと、初心者にできるわけないだろう。どの速度がイーブンペースかさっぱり分からないのだ。

 もしかして後半も、このペースで走り続けられるのではないだろうか。そしたらまさかのサブ4だ。潜在していた欲望が、むくむくと頭をもたげる。ふふふ、やはりオレはできちゃうんじゃね? そうだよねー! 意外にさくっと4時間切っちゃいますか。

 成功のビジョンとプランが頭に描けている、気がする。だが心のどこかで、そのビジョンが夢想であり、プランは理想に過ぎないと冷静に気付いている。それでも私のなかの希望の感情は、冷静をたやすく打ち負かす。人間は希望なんかに身を投じるから悲劇だか喜劇だかのドラマが生まれるのだ。そしてここから10km走でもハーフでもない、私のフルマラソンが本格的に幕を開けた。

 ひとまずの目標は、これから1時間で11kmを走ること。キロ5分30秒ペース、32kmの時点で3時間。そうしたら残りの10kmを、1時間でクリアーすればよいことになる。結果的にこれは甘い皮算用となるのだが、何が甘いかは事後的にしか分からないのも事実である。

袋井フル42km(その2)

 大会当日の朝、宿泊先で目が覚めて窓の外を見たら、曇り空であった。雨が降りませんようにと祈りながら、顔を洗ってウェアに着替えた。午前7時。朝ごはんを食べねばならない。

 ランの本にはよく「大会当日の朝は、スタート3時間前までに消化の良いものを食べておくこと」のように書かれている。しかしスタートが朝の9時だとして、6時までに食べておかねばならないとは、早起きを求めすぎではないだろうか。だがこれは、固形物メインの朝食だからそうなるのであって、もっと流動食っぽいものにしたらよいのではないか。

 と思って、スポーツようかん、科学的なゼリー、糖分系チューブなど、事前に買い込んだ特殊なフードを朝食にした。でもこれだけだと、やはりお口がさみしいので、おにぎりも3つ食べた。飲み物はプロテインドリンクだが、米と合わない。 本当は、ほうじ茶やコーヒーが飲みたいのだけど、カフェインは利尿作用が強いので大会の日には飲めない。

ザバス プロテインドリンク 200ml×6本

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 宿をチェックアウトして、電車と徒歩で会場に向かった。足を使いたくないので、本来ならタクシーに乗りたいのだが、マラソンの交通制限のためそれができない。こういうとき、チッ自分だけは交通制限から除外ならいいのになと思うのだが、この心理は節度のない利己心(アムール・プロプル)というもので、私の魂のレベルが低いとしか言いようがない。

 意志を、意志を一般化せねばならないのだよ、と思いながらJR掛川駅まで歩いた。 自分がいつも出場している大会は河川敷での開催で、交通制限のかかる一般道を走るのは今回が始めてだ。ご不便をおかけする世間の皆様に申し訳ない。

 JR掛川駅からひと駅、愛野駅に到着、とことこ坂道を上る。他のランナーの格好やシューズを観察しながら歩くのはなかなか楽しい。15分ほどで巨大な陸上競技場エコパに到着した。とてもでかい会場で、屋台もいっぱい出ていて、お祭りのよう。

 会場でゼミ卒業生のスズキ君を探すが、人が多すぎて全く見つけられない。たまたま同じ大会に出場しているのだ。私がフルに関心を持ったのは、彼が学生のときゼミで、フルを走った話をしてくれたのがきっかけだ。まさかその約一年後に同じ大会に出場するとは思わなかったぜ。お・待・た・せ・!な気分だ。

 スタートのトラックには人がもうたくさん集まっている。予想タイムが「3時間半から4時間半」のエリアに移動して、号砲を待つ。私はタイムが4時間を切ることを心底期待している。初のフルマラソンで「サブ4」なんて、ああ、なんと格好いい! そして私は、自分の期待の持ち方が楽観的であることを知っているので、この期待を下方に補正して、予想を4時間20分と立てている。

 遠くのステージで、袋井市長がスタート前の挨拶。曇天の空を見上げるが、雨は降らなさそう。気温も湿度もちょうどよく、ランに適した日だ。満員のランナーで埋め尽くされた会場は祝祭のざわめき。非日常である。カウントダウンが始まり、号砲が鳴った。皆が競技場のトラックに一斉に脚をけり上げる。

袋井フル42km(その1)

 12月12日(土)の夜、子供を寝かしてから妻に別れを告げ、小さなリュックを背負って新横浜駅に向かった。終電の新幹線に乗って、静岡県に行くためだ。翌13日に、静岡県袋井市で開催される、袋井クラウンメロンマラソンに出場するのだ。

 クラウンメロンは袋井市の名産で、その名を冠したマラソン大会である。なんとなく甘い響きの名称だから、身体にやさしそうな気がする。坂のアップダウンが多いと聞いたが、アップダウンも何も、私はフルマラソンおよび公道での大会は初めてなので「そういうものなのか」くらいにしか思わない。

 私は坂はわりと好きで、坂を走りながらよく、自分の脳内でないと歌えないうたを歌っている。それは「僕は坂井~、酒井じゃないからお酒は弱いけど、坂には強い~」というものだ。これをワンフレーズ脳内で歌い、「ふふふ、漢字は喋れないから、声に出しちゃうと意味が消えてしまうね」のように思うのが好きだ。

 全身アシックスで身を固めて、電車を乗り継ぎ、新横浜駅に到着。ちなみに全身とは、シャツ、ウインドブレーカ、シューズ、靴下、ジャージズボン、帽子のことだ。ファッショナブルかと言えば微妙だが、機能性は高いし、格好の一貫性はある。

 新横浜駅の新幹線ホームに立ち、終電の「ひかり」を待つ。これに乗るか分からなかったので、きっぷは自由席だ。そして、やってきた「ひかり」は何と満員状態。自由席は大混雑で、通路に人が立っている様子。そうか終電の新幹線はこうなるのだった。だが次の静岡駅までは37分、デッキの片隅に体操座りすることにした。スポーツウェアなので、こういうのが実にしっくりくる。体操座りのまま、新聞インタビューのゲラを修正した。

 静岡駅で「こだま」に乗り換え。こちらは座れて、すぐに掛川駅に到着。明日の初フルを前に、自分の気持ちが昂ぶっているのが分かる。改札を出ると、気を鎮めるためにコンビニで「週刊少年チャンピオン」を買った。宿に到着して、風呂に入って、荷物の整理をしたら、眠くなるまでチャンピオンを読みふけった。

 動揺したときに、チャンピオンを買うことが多い。いま『弱虫ペダル』は訳が分からない展開になっているのと、『刃牙道』は滅茶苦茶で、誌面がカオスである。キャラの濃さだけで話を作ろうとしていないか。いや、たしかにある程度は作れるのだ。うーん、私もこういう技術を使えるようになりたい。車田先生の『藍の時代』はもちろん発売日に買って読んだが、こちらはキャラというより、カタルシスを絶妙に入れる話の展開。こういう手法は学術的な本や論文でも使えるのではと思うのだが、「コンドルセサイクル」を「ギャラクティカマグナム」みたく用いるには発明が必要だろう。

藍の時代ー一期一会ー (少年チャンピオン・コミックスエクストラ)

藍の時代ー一期一会ー (少年チャンピオン・コミックスエクストラ)

  目覚まし時計をかけて就寝。事前に入念にウェアやグッズの準備をしたので、明日は朝食を採って、会場に移動して、走るだけだ。

毎日小学生新聞11/11

 11月11日の毎日小学生新聞(まいしょう)の巻頭記事「多数決でいい?」に、長めのインタビューが掲載されました。多数決のもとでの票の割れや、多数決で決めてはいけないことについて語っています。カラー写真付きです。

 大人相手なら人権概念の権威に頼って「人権侵害を多数決で決めてはいけない」と言えるのですが、小学生だとそれで通じるか微妙な気がします。少なくとも、小1のうちの子にはまだ無理です。なので直観に頼って「みんなで誰かをいじめることを多数決で決めたらいけないよね」と言いました。あらためて人権概念は高度だ、これが社会でそれなりに authorize されているのは全然当たり前のことではない、などと思いました。

 そして、うちの子は「なるほどー、たしかにだれかをいじめるのを、多数決できめたらだめだよねー」と分かってくれたので、多分この説明でよかったのだと思います。

 小学生新聞に載ったのは初めてですが、何となく心が「次世代に希望を託す」モードになりそうでした。とはいえ勝手に託すのも責任放棄。それに、たぶん次世代の人間も大したことはないと思うので、自分が現役のうちは託さない、老害と呼ばれるまで頑張ろうと思ったりもしました。

 子供が毎日小学生新聞に関心を示したので、購読してみたら、ずいぶん好評です。ルビもあって楽しく読んでいます。まだ早いかなと思っていたのですが、うーん、なるほど、こうして読める主体に変容するのか。

 変容に関して一つ余談(すでにこのブログは余談だらけですが)。先日、子供の小学校の参観日に行ってきました。私は子供の小学校にも先生にも、全く不満はないのですが、ガヴァナンスの効いた教室を見ると、おお、国家が国民を再生産している、実に公教育だと軽く震撼します。参観日とは、子供の様子を親として観察しに行くものなのか、行政機関の様子を主権者として民主的に監視しに行くものなのか、いまいちよく分からないのですが、まあ、どちらでもあるのだと思います。  

フランス革命期の公教育論 (岩波文庫)

フランス革命期の公教育論 (岩波文庫)

月例川崎10km(11月)

 足底のケガから復帰後、月例川崎に出場してきた。これまで10kmの50分切りは、マイ計測なので、そろそろ公式記録がほしい。

 最近開発した坂道ダッシュは「250mを全速力で上がって、ゆっくり下る」を3回やる。かかる時間は全部で15分くらい。ダイエットはしていないが、20分以上は走らねばダイエット効果は無いそうだ。もっと回数を増やしたほうが練習になるのだが、坂道を全速力で走ると非常にしんどいので、やりたくないし、冬の夜は寒い。本当は走らないのが一番である。

 そんなこんなで坂道ダッシュ導入後の10kmマイ計測は以下の通りであった。

  •   1km  4:13 早い人たちについていった
  •   2km  4:47 失速し始めた
  •   3km  4:54 失速が止まった
  •   4km  4:58 安定走行
  •   5km  5:07 油断してたら5分台
  •   6km  5:02 ペースを少し早めに戻して
  •   7km  5:05 ああ戻らない
  •   8km  4:57 戻ってきた
  •   9km  4:56 安定走行
  • 10km  4:39 ラストスパート
  •   残余  0:17
  • 合計  48:54

 おお、まさかの48分台。記録更新である(公式には48:56)。これはおそらく坂道トレーニングのおかげだろう。一年前の今頃は、膝を傷めまくって酷い状態だったが、ついにここまで来れたのかと感慨深い。それにしても膝やら足裏やら色々ケガをしたが、本当にランは身体に悪い。

 ランも筋トレと同様で、短時間に高負荷をかけたほうが運動能力は高まるのではなかろうか。自重トレよりマシンを使ったほうが効率よいのと同じではないか。すいません素人の個人的な意見です。

 シューズがだんだん傷んできた。今シーズンを乗り切れるのか、心もとない。寒くなってきた。10kmならすぐ終わるが、フルを走るなら防寒用品が必要になるのではないか。私は昨年の夏からランをはじめて、秋に膝を傷めてしまい、その冬はあまり走れなかった。真冬のフルとは、完全に未知の世界である。

 走ると体温が上がるので、薄着でも構わない。しかし、もし薄着で脚が止まると、体温が下がって大変なことになる。しかし厚着だと走りにくいし、ウェアのなかで汗がこもると水になるので冷えてまずい。本当は、走らないのがベストなのだ。だが走るならば、セカンドベストとして適度な防寒対策が必要なのだろう。スポーツ用品店にGoである。【続く】

 

 今日は日経の「年末エコノミスト懇親会」に参加してきました。色々な方とお話しできて、とても楽しかったです。ご挨拶したい人、会いたい人にまとめてお会いできるので、大変ありがたいです。安倍首相と黒田総裁をはじめて生で拝見したのと、お寿司がおいしかったのが印象的でございました。

月例横浜10km(11月)

 10月に念願の「ハーフ 2時間切り」と「10km 50分切り」を達成したあと、左足の裏側を傷めてしまった。歩くと痛い。整形外科に行ったらレントゲンとられて「うん、ケガじゃないけど炎症ね」と診断された。ケガじゃないけど炎症とはいかに。炎症を伴うケガではないのかと言いたいが、定義を巡って医者と議論しても仕方あるまい。要するに、軽めのスポーツ障害である。

 「大体いつ治りますかね?」と聞くと、「3日から3カ月」と答えられた。3日と3カ月では結構な違いだが、自然現象とはこんなものか。対数を取ると3日はlog 3=1.01、3カ月は90日とするとlog 90=4.5なので、そんなに大きな違いではないのだろうか。すまんが私立文系出身なので、この辺りの感覚がよく分からない。

 ケガはへこむ。せっかくノースフェイスの新しいランパンを買ったのに、しばらく走れない。このランパンは画期的な逸品で、ネット状のポケットが後ろに3つ付いていて、小銭を入れて走ってもじゃらじゃらしない。男梅グミとか携帯補給食も上手く入る。走ると揺れるウエストポーチとはおさらばなのだ。 

  医者からは「あなたはハイアーチ」と診断された。偏平足の反対で、足裏の土踏まずがくぼみすぎているのだ。偏平足が土踏まずのバネが伸びきった状態なら、ハイアーチはバネが固すぎるようなものだそう。へぇー。しかしこれは生まれつきのもので、治せるようなものではなさそう。

 たしかに自分は昔から偏平足ではないと思っていたが、偏平足でなさ過ぎるのか。そして、それは長距離走との関係においては、障害になりうるのか。つくづく障害とは、あるものに属する性質ではなく、何かに対する関係であると思う。いわゆる発達障害や人格障害も、本人の属性として見るのではなく、特定の社会との関係として理解せねばならないとはこういうことだよなあ。

 ハイアーチ用のインソールが無いものか、スポーツ用品店に行って探してみたが、無い。そこで簡単なカスタムメイドを作ってもらった。足の裏の形状にぴったりである。そして私はこんなことばかりしてるからお金が貯まらないのだ。

日本シグマックス カスタム バランスインソール ブルー 27cm

日本シグマックス カスタム バランスインソール ブルー 27cm

 

  んで、一カ月間ほど走らなかったら、炎症はすっかり回復した。そのあいだにも脚の筋トレはきちんとしたが、さすがに走力が下がった感がある。走力チェックのために、11月の月例横浜ラン10kmに参加してみた。最近、私は本当に時間管理がダメで、トイレに行ってる間にスタートしてて、およそ50秒遅れてスタートした。というわけでマイ計測。

  •   1km 4:29 最初はきばって走る
  •   2km 4:52 だんだん「何でこんなことしてんだ」と思う
  •   3km 4:54 しんどい
  •   4km 5:00 疲れてきた
  •   5km 5:11 疲れが出てきた
  •   6km 5:06 疲れてもがんばれ
  •   7km 4:59 ちょっと頑張った
  •   8km 5:02 もうちょっと頑張ってみた
  •   9km 5:12 脚が重い
  • 10km 5:06 ラストスパートできなかった
  •   残余 0:14
  • 合計 50:04

 ケガ前と比べて、タイムは「20秒落ち」程度なのだが、どうにもうまく走れなかった感が強い。最後のラストスパートできなかった、脚が重かった、というのが不満である。こんな短距離でスパートできないのでは、到底フルマラソンは走れまい。

 しかしランにばかり時間を使えない。短い時間で高い成果が出て、しかもケガしにくいトレーニングはないものか。短時間、高強度、低負担だ。というわけで近所の小山の坂道を全力で駆け上がる坂道トレーニングを思い付いた。

 坂道を全力で走ると、短時間でも、しんどいので高強度、遅いので低負担である。われながらグッドアイデアだが、夜間に全力ダッシュするので不審人物と思われない注意が必要だ。

 

 今日はこれから日経の「年末エコノミスト懇親会」に出てきます。普段エコノミストとは呼ばれないので微妙に違和感はありますが、そうとも言えないこともない。会場に誰か友達がいることを期待しています。

朝日新聞11/28オピニオン

 私ごときが忙しいと言うのはおこがましい、あるいは仕事があって感謝とも思うのだが、なんか忙しい。もう一カ月半くらい、ほとんどロードバイクに乗っていない。さらに11月はランも10kmを二回しか走っていない。筋トレだけはコツコツ続けていたが、ついに昨日、今年初めて「連続7日ジムに行けず」をやってしまった。

 自動車絶望工場ふうにいうと、工員ではなく、ベルトコンベアの上に乗せられた組み立て中の車の気分であり、移動しながら、その場その場で作業されるまま、ただ時間だけが進行している感じだ。

 勉強時間が取りにくいので、電車のなかが貴重な読書時間である(なので自転車には乗れない)。いずれ真面目にコメントを書きたいのだが、最近の実に勉強になる本としては、とくに砂原庸介・稗田健志・多湖淳『政治学の第一歩』(有斐閣)と待鳥聡史『代議制民主主義』(中央公論新社)を、満員電車に揺られながら、赤線を引きつつ熱心に読んでいる。

 自分の「政党」「代議制民主主義」への理解が浅いと思わされることが多く、これを改善するのは私の中短期的な課題である。たぶん経済学における企業と、政治学における政党は似たところがあると思うのだが(少なくとも両者は取引費用を節約する組織である)、まだ勉強中でございます。

政治学の第一歩 (有斐閣ストゥディア)

政治学の第一歩 (有斐閣ストゥディア)

 
代議制民主主義 - 「民意」と「政治家」を問い直す (中公新書)

代議制民主主義 - 「民意」と「政治家」を問い直す (中公新書)

 

  さて、自分が書くべき原稿がぜんぜん進んでいない。だから編集者氏に申し訳なくて、最近はブログを更新することができなかった。いや、だって、原稿が仕上がってこないのにそいつのブログが更新されてたら、やっぱちょっと腹が立つじゃないですか。

 忙しかった主な理由に、一橋大学政策フォーラムでの招待講演、公共選択学会プレナリー・トーク等々の準備があった。前者は宇野重規さん(東大社研)、後者は砂原庸介さん(阪大法)がお相手を務めてくださった。本当にどうもありがとうございました。アナウンスした通り、それらで使ったスライドを以下にアップしておきます。 

http://www.geocities.jp/toyotaka_sakai/2015Nov3rdweek4.pdf

 さて本題ですが、本日11月28日(土)の朝日新聞朝刊オピニオン面に、「一票の格差」について(写真付き)インタビューが掲載されています。11月25日の最高裁大法廷でのグレーな判断「違憲状態」ですが、より積極的な司法判断(違憲か合憲か)が望ましかった、また死票という「非死票との無限の格差」にこそ目を向けるべきだ、と話しています。よろしければどうぞご覧くださいませ。

月例横浜10km(10月)

 横浜の月例10kmランに参加してきた。今回は大失態で、10分以上遅刻してしまった。自宅から鶴見川の最寄りの土手まで行って、そこから新横浜あたりまで上流へと8kmほどロードを漕いだら会場に着くのだが、なぜか下流へ進んでしまったのだ。間抜けすぎる。しかし鶴見川は途中で川の合流が複雑にあって三叉路みたいで、土手にいるとどっちがどっちか分からなくなることがあるのだ。自分だけだろうか。

 というわけで公式記録は気にしないで、GPS時計で自己満足することにする。そもそも私のラン自体が自己満で、しかも鶴見川まで来るとはその度合いが高いのだ。タイムだって自己計測で心を満たせばよい。

 しかしこの遅刻が実はとてもよかった。なんとけっこうな人助けになったのだ。それは後述するとして、今回の目標は10kmを50分切りだ。キロ5分で10km。たぶんきっちりタイムの管理をすれば、それはできる。そして、できた。

  •   1km 4:39
  •   2km 4:53
  •   3km 4:58
  •   4km 4:55
  •   5km 5:03
  •   6km 5:00
  •   7km 4:56
  •   8km 5:00
  •   9km 5:05
  • 10km 5:00
  •  ロス  0:16
  •  合計 49:45(10.06km)

 超ご機嫌である。

 タイムを気にして走るのは、楽しいかと言われれば、あんまり楽しくない。一定の速度をキープするので、時間が経つにつれ段々しんどくなってくる。なのに何故そんなことをするのかと言えば、やはり楽しいからだ。つくづく楽しみや悦びは、快楽とは相当異なる概念だと思う。

 この日は10月なのに、かなり気温が上がって、走りながら暑いと思った。前回のハーフマラソンと同様、今回も「男梅グミ」は重宝した。塩分の補給に最適である。暑くてぼうっとしてきたときに、これを口にすると、一気にしゃっきりする。飴と違って口のなかでゴロゴロしない。地球上すべてのランナーに「男梅グミ」を強く勧めたい。 

ノーベル 男梅グミ 38g×6個

ノーベル 男梅グミ 38g×6個

 

 私は10kmの部に出たので、それが終わったら帰宅である。だがまだコースでは20kmの部の人たちが走っている。 そして私の帰り道は、そのコースなのだ(貸し切りではない)。だから20kmランナーの邪魔にならないよう、道のはしっこをそろそろと自転車を漕いでいた。記録更新でごきげんなので、気持ちよくヒャッハーと唄を歌ったりする。

 そのときである。すれ違った20kmランナーのひとりが、「この先に人が倒れてるよ」と私に告げ、走り去っていったのだ。んんん? それは言葉通り受け取れば、人が倒れているという事実の表明に過ぎない。だが、それをわざわざ私に告げるとは、倒れている人を救えという行為の要請なのであろうか。

 と思って先に進むと、たしかにランナーが仰向けに倒れていた。すでに介護している人がいるが、私も自転車を降り、それに加わる。体温は上がってないので、熱中症ではなさそう。意識はある。

 まずは手持ちのスポーツ系ジェルを、倒れている人の口に(了解のうえ)入れた。しかし、あまり効いてない気がする。たぶん効率的に塩分を取る必要があるのだ。そこで続けて塩気の強い、男梅グミをお口に投与した。ひとつ、またひとつ。どうだ。

 「どうですか」と、彼の頭を膝に乗せた、別の男性ランナーが尋ねる。すると彼は目を閉じたま小声を振り絞って、「いまの、意識戻る」と喋ったのだ。男梅グミで、意識が戻る。むろん彼の意識はもともとあるので、正確には意識の状態が向上するのであろう。秋晴れの河川敷での、思いがけぬ出来事。私は彼の様子を確かめながら、その小さく開いた口に、男梅グミをまた運んでゆく。市民ランナー同士の連帯を通じた救命作業だが、これはこれで、ちょっとしたBL的光景ではなかろうか。

 やはり塩分不足で脱水症状だったのか、男梅グミのおかげで、少しずつ回復のご様子。うーん、男梅グミすごい! そのあいだに他のランナーが、ドリンクを買ってきてくれたり、大会運営の人を連れてきてくれたりした。やがて本人は立ち上がれるようになり、付き添いの方もいらして一件落着。いやあ最初はどうなるかと思ったが本当に良かった。

 私が遅刻しなければ、このタイミングでここに居合わせなかったのは確実なので、これは結果的に遅刻が大正解ということだ。「やはり俺は持ってるなあ」と思いながら、いっそうご機嫌でロードを漕ぎ家路に着いたのであった。

大井ハーフ21km(10月)

 品川区の大井にある人工島の陸上競技場で開かれたハーフマラソンを走ってきた。競技場のトラックと外周を走るコースで、1周3kmを7周(プラス0.975m)するのだ。いささか殺風景な場所にあるコースで、カーブも多く新記録に向いているわけではない。しかしここは私がはじめてハーフマラソンを走ったコースで、何となく気に入っているのだ。会場へはロードを漕いで15km、ぎりぎり間に合った。

 5月、7月に続いて、これで今年三回目のハーフマラソンだ。本来なら9月に多摩川沿いの大会を走る予定だったのだが、記録的豪雨で河川敷が浸水、大会中止になってしまった。

 目標は2時間切り(サブ2)である。先週10kmが50:50だったので、21kmを2時間はできるはずだ。私もようやくその辺りの具合が分かるようになってきた。

 キロ5分30秒でイーブンペースを目指す。それだと計算上、21kmに1:55:30かかる。しかしそれだけでは済まない。まず、端数の0.975mに30秒かかる。そして21kmの直線を走るわけではないので、斜めのロスが400m生じるとして、それに2分。トイレに一度は行くだろうから、それに1分30秒。これでトータル1:59:30、ギリギリ2時間を切れる。

 キロ5分30秒だと、一周3kmを16:30で走る予定になる。まずは前半の3周の状況。

  • 1周目 16:38 この周は0.975m長いので、予定(17:00)より早い
  • 2周目 15:57 快調
  • 3週目 15:58 快調

涼しくて気候もいいし順調である。ここまでキロ5分20秒ペースで来れている。次回の4周目のおわりに、トイレに行くことを決める。F1のピットインみたいな感覚だ。

  • 4週目 17:41 トイレで1分30秒くらい使った。ランのペースは快調

 この時点で、2時間切りが可能と確信した。脚も大丈夫。プランを「余力を残してケガせずにゴール」と変更する。ここから先はキロ5分40秒、一周3kmを17:00に遅らせよう。余力を残すとは、ゴール後も「まだ当分走り続けられる」という状態にすることだ。今シーズンはフルマラソンに出てみたいが、ハーフ後に「もう走れない」というようでは問題外であろう。結局、後半は

  • 5週目 16:39 もうちょっと遅くすべし
  • 6週目 16:52 脚が重くなってきた。遅くしようと思わなくともこのタイム
  • 7週目 17:04 うーん脚が重くなってきたな。予定より4秒遅い

であった。この辺りはもっとタイムを上げられたはずだが、それは狙わなかった。2時間さえ超せばいいのだ。最終的に

  • 合計 1:56:49

で念願の2時間切り達成。嬉しい。

 ゴール後、余力の感覚は「あと10kmをキロ6分で走れるかな」であった。たぶんだが、あと10kmくらいなら、1時間くらいで走れる気がする。つまり31.0975kmを3時間くらいで走るのは、大丈夫な気がする。あくまで気がするだけですが。しかしフルマラソンは、その後にさらに11.0975kmあるのか。それはもはや私の想像を絶する世界で、さっぱり分からない。

 レース後には、内転筋に軽い筋肉痛、股関節の外側に軽い違和感が出た。これはおそらく、この辺の鍛え方が弱いのであろう。10kmだと出ないダメージが、21kmになると出てくる。これらの箇所を重点的に筋トレ・ストレッチしないと、フルは走れないだろうなあと思う。

 今回はラン中に「男梅グミ」をよく食べた。携帯しやすく、食べやすく、十分な量の塩分がとれる。それに口にすると意識がしゃっきりする。この日は午前中のラン後に仕事に行って、それから夜は自転車屋にメンテに行って、計50kmくらい漕いで帰宅した。この季節は日が暮れるのが早くて、運転がちょっとこわくなってきた。自転車のライトをもっと明るいハロゲンライトに付け替えるべきかもしれない。 

ノーベル 男梅グミ 38g×6個

ノーベル 男梅グミ 38g×6個

 

 

 

 

 

 

月例川崎10km(9月)

 9月の月例川崎10kmランで、記録が50:50だった。走歴1年2カ月、初の50分台、私にとっては快挙である。

 私は昨年のこの大会で腸脛靭帯炎になって、三カ月以上まともに歩けなくなった。いま思うと結構なケガである。そのとき無理やり走ったタイムが51:27だ。われながら愚かだが、治るケガでよかったとも今は思う。だからこのタイムを「ケガなしで」更新するのが、回復して以来、叶いそうにない大目標であった。そして回復後のタイムは55分前後をさまよっていた。

 その回の目標は53分切りだったけれど、最初キロ5分で走っているうちに、あれ、このスピードが維持できそうだという感じで走り続けられて、まさかの50分台が実現できた。ものすごく意外であった。

 これまでランで「想定より上手くいく」を経験したことがない。だいたい想定通りの現実的な結果が出るか、それより上手くいかないかのどっちかである。それが上手くいったのだ。

 理由はおそらく、スピードを出す練習を採り入れたことだ。これまでの私にとってキロ5分は非常に速く、通常の目安はキロ5分30秒から5分40秒だったのだ。しかしそのスピードで練習してもタイムはなかなか上がらない。どうしたものかと思っていた。

 そんななか9月に実家に帰ったとき、たまたま自分が小学六年生のときの、1500m大会の記録証を見付けた。タイムは約6分、つまりキロ4分である。意外に速い。そしてそれを見てなんとなく、スピードを上げてみるかなあと思ったのだ。ちなみにいま現在、私は1500mを6分では走れないと思う(ケガしたら嫌なので挑戦しない)。

  練習の強度を上げると故障の確率が高まるので、一度痛い思いをした私は、それまでスピードアップに前向きではなかった。しかしハーフマラソンも二度出て無故障だったし、脚の筋トレも成果が出てきている様子だし、多少は強度を上げても大丈夫だろうと思ったのだ。

 それとソニーのウォークマンが壊れたのをきっかけに、走るときに音楽を聴くのをやめた。もともと聴かなくてもいいんじゃないかと思ってはいたのだ。聴覚以外の五感が下がって、フォームの維持とペースの管理には、明らかにマイナスなのだ。これは奏功して、自分のGPS時計の計測だと、そのときの10kmは順に

  •   1km 4:58
  •   2km 5:00
  •   3km 5:08
  •   4km 5:11
  •   5km 5:08
  •   6km 5:06
  •   7km 5:03
  •   8km 5:00
  •   9km 5:01
  • 10km 4:49
  •   ロス 0:25
  •   合計 50:49(10.1km)

であった。かなり上手くイーブンペースになっている。イーブンペースが大事とは聞くが、今回それをはじめて真面目に実行したのだ。

 それと、コース取りに気を付けた。これまでは10km走だと、斜めに走行するなどで200mくらいロスが発生し、合計10.2kmくらい走っていたが、今回はロスを100mに抑えられた。タイムにすると30秒短縮できたことになる。それにしても、意識すると抑えられるものなのだなあと感心する。

 というわけで、ずいぶんレースで走るのが上手くなったように思う。もはや初心者ではない気がする。来週のハーフマラソンも2時間は切れるのではないか。そしてこのとき、はじめて自分のなかに、フルマラソンを走ってみたいという欲望が生まれた。

Number Do(ナンバー・ドゥ)vol.23ランの未来学。 (Sports Graphic Number PLUS)

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